REPORT
2016.04.15
3月31日と4月1日、μ’sの活動の集大成となるライブ、“ラブライブ!μ’s Final LoveLive!〜μ’sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜”が東京ドームにて開催。このライブを活動のひと区切りとするμ’s(新田恵海(高坂穂乃果役)、南條愛乃(絢瀬絵里役)、内田 彩(南 ことり役)、三森すずこ(園田海未役)、飯田里穂(星空 凛役)、Pile(西木野真姫役)、楠田亜衣奈(東條 希役)、久保ユリカ(小泉花陽役)、徳井青空(矢澤にこ役))のステージを目に焼き付けようと、両日ともに多くのファンが駆けつけた。本稿ではその2日目での、彼女たちの輝きをお伝えする。
粋な演出から、ミュージックスタート!
場内には、端から端まで広がった横幅の広いメインステージのほかにも、客席間の花道の先には上手・センター・下手にそれぞれステージが設置。そのいずれもが、比較的客席に近い位置に設置されており、アリーナ席のファンはもちろん、スタンド席もより近くでパフォーマンスを観られるうれしい配置となっていた。
そんな会場は、開演前から客入れBGMとして流されたμ’s楽曲で大盛り上がり。そんななか、「Snow halation」の1サビラスト、「まもなくStart!!」のパートで客電が落とされ、オープニング映像が流れるという粋な演出からライブはスタート。過去の各ライブ会場前にμ’sメンバーが立つ形でこれまでを新規のオープニングアニメーションで振り返り、いよいよ彼女たちが、東京ドームに立つ。
まず披露したのは、彼女たちの原点である1stシングル「僕らのLIVE 君とのLIFE」。サビではメインスクリーンにこの日のライブショットが、そしてその左右のスクリーンにはアニメーションPV版・TVアニメ版の映像が並ぶ。キラキラの笑顔で、18人がドームに勢揃いした。そのままTVアニメ1期のOPテーマ「僕らは今のなかで」へと続き、ライブはいきなりクライマックスの様相を呈す。ステージのうえで、まさしく“今のなかで”輝く9人の姿はこの場の誰もが目に焼き付けていた光景だろうし、2サビ明け間奏での南條と楠田がアイコンタクトを交わす姿も思わず胸が熱くさせる。
曲明けに9人揃って「μ’sです!」のポーズを決めると、日本はもちろん世界各地でのライブビューイング会場に手を振り、恒例のメンバーそれぞれの自己紹介へ。ウェーブのようにファンを撃ち抜いていった三森の“ラブアローシュート”や、この日に合わせたかのように東京の桜が満開になったことを喜ぶ徳井など、思い思いの言葉が続く。
MC明けも、アニサマに初出場した思い出のナンバー「夏色えがおで1,2,Jump!」や「Wonderful Rush」を立て続けに披露。2サビ前に久保が「いっしょがいいねー!」と心から湧き出たかのようなシャウトを見せれば、そのサビ明けのラップを見せ場とするな徳井も、ビシっと決める。そしてこの曲を披露していたセンターステージが最後方に向かって可動し、よりスタンドのファンに近づく。さらに「友情ノーチェンジ」では1サビ明けには9人全員がトロッコに乗り、ファンへ手を振り歌う。それに呼応するかのように、スタンドでは9色のペンライトが左右に揺れていた。
キャストとともに軌跡を振り返る幕間映像「μ’s Chronicle」を挟み、「もぎゅっと”love”で接近中」をこの曲の衣装でキュートに披露。「baby maybe 恋のボタン」で再びセンターステージへと移動し、続く「Music S.T.A.R.T!!」では落ちサビを担当したセンター・Pileの歌声が実に圧巻。ラスサビで舞った花吹雪は、楽曲の持つパーティ感をより高めていた。
PV付きのシングル曲が早くも6曲披露されるというクライマックス感に包まれていた東京ドーム。そのなかで、新田が「でも、TVアニメの曲もいっぱいありますよね?」と切り出し、今度はメドレー形式でTVアニメで生まれた曲を披露していく。「ユメノトビラ」の披露後に暗転したステージには3つの人影だけが残り、TVシリーズの幕開けを飾った「ススメ→トゥモロウ」の頭サビを新田が歌うと、客席をまたも大きな歓声が包む。続く「Wonder zone」「これからのSomeday」では再び9人でトロッコに乗ってのパフォーマンスを展開。後者ではダンスしながらも9人の間で交わされるわちゃわちゃしたやり取りが、なんだかとてもいとおしく見えた。また、9人Ver.で披露された「Love wing bell」のBメロでメインを執る飯田の歌声は、本編での凛のいじらしさも相まって実にたまらないものだった。
そして「Dancing stars on me!」では衣装を早替えし、下手側ステージでのキュートなフォーメーションとダンスで、スタンドのファンを魅了していく。紫に染まったスタンドに返礼するかのように、楠田も美しいバレエターンを披露。さらに、「Happy maker!」を歌いながらメインステージへと行進していく。
“らしさ”がくっきり分かれた、ユニットゾーン
さて、ここからはユニット曲ゾーンがスタート。新田・内田・久保によるPrintempsがその幕開けを飾る。彼女たちらしいキュートな歌声とダンスで、「WAO-WAO Powerful day!」を、そのタイトル通りパワフルに届けていく。
ユニットMCではPrintempsの衣装が初シングル「Love marginal」の衣装であることを語り、「『ラブライブ!』の初イベントはPrintemps!」と自らの歴史を振り返る。そこからキリッとした表情で「NO EXIT ORION」を歌ったかと思えば、再び「sweet&sweet holiday」でキュートなアイドルに戻る3人。そのセンターで笑顔を振りまいていた内田の、落ちサビの歌詞に合わせた「集まれっ!」とのシャウトも、会場を湧かせる。
続いて登場したユニットは三森・飯田・楠田のlily white。「思い出以上になりたくて」を切なく披露する。その昭和歌謡感はこの3人全員に“似合う”もので、特に次曲「ふたりハピネス」では楠田の醸し出す90年代アイドル感と、楽曲との相性が抜群。Dメロのソロも実にキュートだ。MCでは三森が再びこの日満開を迎えていた桜に触れ、「ドームに花を咲かせましょう!」の言葉を合図にファンが客席をピンクと白に染め上げていく。そのムードの中、この季節ならではの楽曲「春情ロマンティック」が歌われるのも、なかなか乙なものだった。
そしてユニットラストは、南條・Pile・徳井から成るBiBiのターンに。攻め攻めナンバー「Cutie Panther」でガラッと雰囲気を変え、「PSYCHIC FIRE」で東京ドームをブチ上げる。徳井が“BiBiコール”を煽ってからメインステージ上の階段ステージはさらにリフトアップ。建物にして2~3階ほどはあろうかという高さで、パフォーマンスを繰り広げた。曲明け、その徳井も「いい眺めにこぉ♪」とご満悦だ。そして今度は一転して切なげなミドルナンバー「錯覚CROSSROADS」を、大人っぽく歌い上げる。バラードでのキメどころでの、南條の歌声の魅力はやはりピカイチだ。
劇場版楽曲を軸に、クライマックスへ!
と、ここでスクリーンには劇場版での海外の街並みが。そして、流れ出す「Angelic Angel」のイントロ。ステージでは花火も噴き出し、楽曲にきらびやかさをさらにプラス。再びステージに揃ったμ’sは、衣装や髪型まで劇場版を完全再現した姿で、さらにスクリーン上では、9人の扇子の動きに合わせて金色の軌跡でハートマークが描かれたり、劇場版の映像に合わせるようにステージ映像にも紙吹雪のエフェクトがかぶせられ、現実とアニメとがより接近する様を見せる。さらに、和装にふさわしい「輝夜の城で踊りたい」「だってだって噫無情」を続けて披露。前者では、この場に集いしファンたちのコールの圧力のすさまじさを実感し、後者ではサビで扇子を指に引っ掛けて回すという難度の高い技をこなす、メンバーのすさまじさを見せつけられた。
そして飯田の、いや凛の「大丈夫にゃ♪」に始まる「Hello,星を数えて」から、劇場版学年曲ゾーンに突入。レビュウ調のこの曲の、サビでのとにかく細かいステップを軽快に踊りこなす1年生組3人の姿には、ペンを走らせつつも思わず拍手してしまった。続く「?←HEARTBEAT」では作中同様3年生3人がサングラスをかけて登場。ミュージカルに近い、バタバタ感の強い小芝居混じりのパフォーマンスを展開する。そして「Future style」では2年生組の3人が制服で登場。希望の宿ったそれぞれの表情こそが、この曲から発せられた無言のメッセージだろう。
ライブもいよいよ後半戦。だからこそ、ここで歌われた「それは僕たちの奇跡」の「最後まで駆け抜けるよ!」のフレーズが、心により響く。MCでは直前に流れた幕間映像同様にファンミーティングツアーを振り返り、そのすべての会場で歌われた「ミはμ’sicのミ」を披露。この曲ではメインステージの上手・下手両端とセンターステージに3人ずつが位置取り、ステージから距離のあるファンにも再び会いに行く。その姿は、ファンミーティングで全国を回るメンバーとダブるものだった。そして9人は、「Super LOVE=Super LIVE!」で再び全方位へ弾ける。Dメロでのコールでは、メンバーがそれぞれワンポーズずつビシッと決め、ファンのテンションを高める。それとリンクするかのように、前奏で音玉が炸裂したのが「No brand girls」だ。ファンのコールで、ドーム内の空気はビリビリ震える。そこで来た2期のキー曲「KiRa-KiRa Sensation!」は、新田の落ちサビでの表情を含めた全身全霊感は、場内すべてのファンの心を震わせたはずだ。
MCにて、衣装が劇場版で“スクールアイドルみんなで歌った曲”のものであることが語られると、飯田を中心に観客へサビの振付講座を敢行。そうして、“みんなで”の曲「SUNNY DAY SONG」を、ステージ上の9人と観客“みんなで”盛り上げきり、ライブは一旦幕を下ろした。
9人と観客が起こした、オレンジの奇跡
暗転の中、スタンドで輝き続ける9色の光。そして響き続けるアンコールの声。それらすべてを原動力とするかのように、スクリーンには各シングルのPVダイジェストが上映される。そしてメインステージにスポットライトが当たり、μ’sがリフトUPにて登場。「START:DASH!!」のイントロのピアノが聴こえた瞬間、東京ドームはまた大いに湧いた。1期第13話で、再出発するμ’sが歌ったこの曲がアンコールの幕開けを飾るのも、また感慨深い。その歓声は、同じくピアノで始まる鉄板曲「Snow halation」でさらに大きく響く。イントロ前のガイドシンセの音色ですでにスタンドは白く染まり、2サビではステージ上にも雪が舞う。そして圧巻だったのが落ちサビ。その白が一斉にオレンジの輝きに変貌する。それは、会場全体がひとつになってできた、温かい団結の証。この日だけの特別なイルミネーションだ。続く「Oh,Love&Peace!」では全員がトロッコに乗り、メンバー同士でじゃれあいながらセンターステージに移り、「どんなときもずっと」へ。スクリーンに歌詞も映し出され、場内では大合唱が起きる。曲ラストではメインステージに9人が集い、手には2期ED映像での各メンバーと同じように白い羽を掲げていた。
本当に終盤の近づくライブ。新田に促され、メンバー一人ひとりがファンへのメッセージを語る。挨拶の最後に「絢瀬絵里と、南條愛乃でした」と締めた南條をはじめ、いずれも自身演じるメンバーやファンへの感謝の言葉を紡ぐ。そして新田は、「不思議とドームは怖くありませんでした。それもこの9人だから」と改めてメンバー間の絆から語り始め、「私たちはずっとμ’sです!私たちは、またみんなに会いたいです。それは18人同じ気持ちだと思っています」とのメッセージを届けてくれた。
そこから歌われたアンコール最後の曲・ファイナルシングル「MOMENT RING」も、9人は笑顔のままステージを務め上げる。間奏ではひとり2小節分ずつメンバーの名場面とキャストのソロパフォーマンスがスクリーンに映し出され、さながらエンドロールのよう。最後には改めて「ありがとう!」と手を振り、手と手を繋いで最後に頭上に掲げる9人の姿があった。
繰り返す「いまが最高!」は、絆を表す合言葉
しかしそれでも、まだ聴きたい。もっとこの18人のステージを観ていたい。そんなファンからの大歓声は、まだまだ止まない。その歓声を受けて、ライブ直前の9人がそれぞれの想いを語る様が、映像として流される。そして過去のライブ映像も流されると、そのスクリーン部が開いて花のつぼみが登場。センターステージに向かって動き続ける。そしてスクリーンにはメンバー9人の点呼が映し出され、続けて会場一体となっての「10!」の、「μ’sミュージックスタート!」の大合唱が起こる。そして開いたつぼみの中に立つμ’sが、「僕たちはひとつの光」を披露する。ラストの曲が劇場版通りにこの曲であるという点もさることながら、花びらの中で歌うという演出、さらにはそこを照らす照明効果に至るまで、細部まで“μ’sのファイナルライブ”そのものだった。曲の終わりには、手を繋いで輪を作る9人。この瞬間だからこそできる、9人の絆の輪が完成した。
曲が終わると、花はこの曲のインストをバックに、ステージ裏に向かってゆっくりと動き始める。ファンは曲に合わせて大合唱を続け、μ’sと一緒に「いまが最高!」と幾度となく繰り返した。花とともにμ’sがステージを降り、モニターには『ラブライブ!』のロゴが映し出されてステージは幕を下ろしても、しばらくの間大合唱とμ’sコールは止まずに鳴り響いていた。
「限られた時間の中だからこそ輝く」存在として駆け抜けたこの日のステージは、ある意味彼女たちの青春の集大成だった。だが、ワンマンライブとしてはこの日がファイナルだったものの、これは決して終わりではない。新田がMCで語ったように、この9人は変わらずμ’sのメンバーであり続ける。だから、時が来たら、彼女たちのことを全力で呼ぼうではないか。そんな、笑顔の9人にまた会える日が来ることを、筆者は信じている。
Text by 須永兼次
“ラブライブ!μ’s Final LoveLive!〜μ’sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜”
2016.04.01@東京ドーム
【SET LIST】
M1.僕らのLIVE 君とのLIFE/μ’s
M2.僕らは今のなかで/μ’s
<MC 1>
M3.夏色えがおで1,2,Jump!/μ’s
M4.Wonderful Rush/μ’s
M5.友情ノーチェンジ/μ’s
<幕間映像1>
M6.もぎゅっと”love”で接近中!/μ’s
M7.baby maybe 恋のボタン/μ’s
M8.Music S.T.A.R.T!!/μ’s
<MC 2>
●メドレーパート(M9~M13)
M9.ユメノトビラ/μ’s
M10.ススメ→トゥモロウ/高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南 ことり(CV.内田 彩)・園田海未(CV.三森すずこ)
M11.Wonder zone/μ’s
M12.これからのSomeday/μ’s
M13.Love wing bell/μ’s
<MC 3>
M14.Dancing stars on me!/μ’s
M15.Happy maker!/μ’s
<幕間映像2>
M16.WAO-WAO Powerful day!/Printemps(高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南 ことり(CV.内田 彩)・小泉花陽(CV.久保ユリカ))
<Printemps MC>
M17.NO EXIT ORION/Printemps(高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南 ことり(CV.内田 彩)・小泉花陽(CV.久保ユリカ))
M18.sweet&sweet holiday/Printemps(高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南 ことり(CV.内田 彩)・小泉花陽(CV.久保ユリカ))
M19.思い出以上になりたくて/lily white(園田海未(CV.三森すずこ)・星空 凛(CV.飯田里穂)・東條 希(CV.楠田亜衣奈))
M20.ふたりハピネス/lily white(園田海未(CV.三森すずこ)・星空 凛(CV.飯田里穂)・東條 希(CV.楠田亜衣奈))
<lily white MC>
M21.春情ロマンティック/lily white(園田海未(CV.三森すずこ)・星空 凛(CV.飯田里穂)・東條 希(CV.楠田亜衣奈))
M22.Cutie Panther/BiBi(絢瀬絵里(CV.南條愛乃)・西木野真姫(CV.Pile)・矢澤にこ(CV.徳井青空))
M23.PSYCHIC FIRE/BiBi(絢瀬絵里(CV.南條愛乃)・西木野真姫(CV.Pile)・矢澤にこ(CV.徳井青空))
<BiBi MC>
M24.錯覚CROSSROADS/BiBi(絢瀬絵里(CV.南條愛乃)・西木野真姫(CV.Pile)・矢澤にこ(CV.徳井青空))
<幕間映像3>
M25.Angelic Angel/μ’s
<MC 4>
M26.輝夜の城で踊りたい/μ’s
M27.だってだって噫無情/μ’s
<幕間映像4>
M28.Hello,星を数えて/星空 凛(CV.飯田里穂)・西木野真姫(CV.Pile)・小泉花陽(CV.久保ユリカ)
M29.?←HEARTBEAT/絢瀬絵里(CV.南條愛乃)・東條 希(CV.楠田亜衣奈)・矢澤にこ(CV.徳井青空)
M30.Future style/高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南 ことり(CV.内田 彩)・園田海未(CV.三森すずこ)
<幕間映像5>
M31.それは僕たちの奇跡/μ’s
<MC 5>
M32.ミはμ’sicのミ/μ’s
M33.Super LOVE=Super LIVE!/μ’s
M34.No brand girls/μ’s
M35.KiRa-KiRa Sensation!/μ’s
<MC 6>
M36.SUNNY DAY SONG/μ’s
<幕間映像6>
EN1.START:DASH!!/μ’s
EN2.Snow halation/μ’s
EN3.Oh,Love&Peace!/μ’s
EN4.どんなときもずっと/μ’s
<MC 7>
EN5.MOMENT RING/μ’s
<幕間映像7>
W-ENCORE.僕たちはひとつの光/μ’s
μ’s
新田恵海(高坂穂乃果 役)、南條愛乃(絢瀬絵里 役)、内田彩(南ことり 役)、三森すずこ(園田海未 役)、飯田里穂(星空凛 役)、Pile(西木野真姫 役)、楠田亜衣奈(東條希 役)、久保ユリカ(小泉花陽 役)、徳井青空(矢澤にこ 役)
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