リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2016.03.17

3月18日より先行上映スタート&4月よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送開始!アニメ『甲鉄城のカバネリ』荒木哲郎監督インタビュー!

news-1603172030-7

「負け犬」と「美少女」が、血煙と蒸気渦巻く「戦国」の世を駆ける――! 『ギルティクラウン』『進撃の巨人』の荒木哲郎監督が、満を持して世に送り出す最新オリジナルTVアニメーション『甲鉄城のカバネリ』。オンエア開始を間近に控える中、作品に込めた熱い思いを監督に語ってもらった。

 

ヒロインアクション+ゾンビ+スチームパンク時代劇!

――まずは企画誕生の経緯から聞かせてください。

荒木哲郎 『ギルティクラウン』の直後から「また同じチームでオリジナル作品をやろう」という話はあって、『進撃の巨人』の準備を進めながら、そちらの作業も進めていたんです。そこから企画が今の形に定まったのは、『進撃の巨人』のTVシリーズのオンエアが終わった、2013年の年末くらいでした。

――アイデアの発想の源はどこから?

荒木 まず「今の自分たちの資質がもっとも活かせる企画をやろう」というのが前提にあったんです。たとえば、WIT STUDIOで制作することは最初から決まっていたので、であるならば、「アクション作画をメインに据えた作品にする」というのは当然のことでした。そうした条件を考えた上で、自分のやりたいことを考えたときに、次は「ヒロインアクション」かな、と。『あずみ』みたいな、少女剣士が登場するような作品がやりたいと思ったんです。あとはドラマ的には、苛立ちを抱えた少年がみんなを見返す、「負け犬リベンジ」みたいなドラマをやりたい、と。まあ、今回に限らず、ドラマの部分では常にそれがやりたいんですけど(笑)。それらがまず最初に定まって、そこからどういうジャンルのものにしていくか、作品の舞台の時代感をどうしていくのかを決めていった感じですね。

――ジャンルは広義の「ゾンビもの」ですよね。

荒木 いろいろなアイデアを出したなかで、プロデューサー陣の反応がいちばん良かったのがゾンビ路線だったんです。ゾンビにかけては信用があるんでしょうね(笑)。残忍で獰猛、そして愚かしいゾンビのような敵というのは、自分としても大好物ですし。あとはゾンビであれば、ヒロインがバンバンなぎ倒しても、視聴者がその娘のことを嫌いにならないだろうというのも、ポイントとして意外にデカかったです。そこを決めた段階で、時代劇にするということもすでに決まっていましたが、ただ、移動の手段が徒歩だとなんとなくしまらないので、移動要塞を出そうと思ったんです。「ゾンビもの」としてもトレーラーは定番のアイテムですし(笑)。そのときイメージしていたのは、『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005年ジョージ・A・ロメロ監督)に出てくるデッドレコニング号みたいなものでした。とはいえ、時代劇……江戸末期から明治初期ぐらいの時代感を背景にするとなると、移動要塞として登場しうるのは、蒸気機関を使ったものしかない。というあたりで、企画としての独自性が定まった感じでした。

――蒸気機関が主要なガジェットとなる、つまり本作はいわゆる「スチームパンク」でもあるわけですが、そのビジュアル・イメージはどのように作って行かれたのでしょう?

荒木 スチームパンクの要素に関しては、昭和の炭鉱などを調べて、そのイメージを取り入れています。ただ、移動要塞……「甲鉄城」に関しては、第一次、第二次世界大戦時の装甲列車が、基本的にはイメージの拠りどころですね。当時の装甲列車って、今見ると、逆にかなり未来的に見えるようなデザインのものがいっぱいあるんです。そういう意味では、この作品に登場するものは、全部もともと自分たちの生きているこの世界にあるものを組み合わせて考えています。この作品に集まったスタッフは、資質として、独創性のあるものをバンバン発想していく、見たこともない未来をイメージしていくよりは、過去にあったものをしっかり調べて、それのいいところを組み合わせつつ、自分たちのちょっとした個性を見つけていく形で発想する方が得意なんですね。そもそも時代劇をやろうと思ったのは、その手法が使いやすいからというのも理由としてありました。また、時代劇にすることで、お話の上でも自分の古臭い資質……オーソドックスで普遍的な、王道なものしかできないところを利点に変えられるとも考えまして。現代の高校生の話としてやるとクサくなりそうな物語、情動も、時代劇であれば作品の中に入れ込みやすいんですよ。

偉大な才能から刺激を受けて

――メインスタッフに監督の作品でおなじみの方が多い中、キャラクター原案として美樹本晴彦さんが参加されていることには驚かされました。こちらの起用の理由は?

荒木 今回の企画のスローガンとして「流行に流されない、いつの時代の人にも届く普遍的な作品にする」というのがあったんですね。その条件に当てはまる、長い時間愛されている絵であると同時に、ヒロインが主体になる作品だから、少女絵が魅力的な方にお願いしたいという考えがあって、そこから美樹本晴彦さんが最適解として自分の頭に思い浮かんだんです。まさか受けていただけるとは思っていなくて、その瞬間、この企画が大きく前進したような思いがありました。

――美樹本さんの絵の魅力はどんなところにあると監督は感じていますか?

荒木 最新の流行を取り入れて常にご自分の絵柄をアップ・デートされているけれど、基本には安彦良和さんのような、ちゃんと大人がいて、子供がいて、女がいて、男がいて……というような、リアルな世界観を元にした部分があるところですね。自分が好きな絵師さんには、みなさんある意味そういうところがあるんです。『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』のときにお仕事をした田中将賀さんも、最新の絵柄でありながら、根っこの部分に湖川友謙さんの絵のニュアンスを持っていたりする。そういうリアルな骨格とか、基礎がしっかりした世界観がベースにありつつ、最新の絵のアプローチを同時に試みている人が好きで、美樹本さんもそうだと思うんです。

――劇伴は、監督の作品ではおなじみの澤野弘之さんです。今回はどのようなオーダーを?

荒木 いつもそうなんですけど、そんなに音楽的なオーダーはしていないです。作品の世界観を説明して、大まかなストーリーの流れを説明する。強いて今回特別に言ったことといえば、「和物だけど、そんなに和のテイストにしばられなくていいです」くらいですね。ロックでもなんでもいいので、澤野さんがこの絵を見て奏でたくなった音を奏でてください、と。あとは「湿度」とか「温度」ですかね。『進撃の巨人』のときには、「割りと砂漠っぽい、乾いているイメージ」みたいな話をして、逆に今回は、「日本が舞台だから、わりと湿度が高いかもしれないですね」みたいな。温度とか湿度のイメージって、絵を作るスタッフにも影響が大きいんですが、音楽もそうみたいで。あとはもう、単純に曲そのものの突破力が高いことを重視しています。それが結構演出の助けになるんですね。曲そのもので持っていけるくらいのパワーがまずあって、その曲のエモーションの高まりと、フィルム、ドラマのエモーションの高まりを、自分が上手にコントロールする。同期させたり、逆にちょっとずらしたり。そうすることで、作品に勢いが生まれて、それを受けて澤野さんがまた面白い曲を書いてくれる。

――お互いの仕事で刺激しあうような。

荒木 そんな感じです。「お、そうきたか」みたいな。『カバネリ』の曲も、単にアガる、エモーショナルというだけじゃなくて、びっくりするような曲もあって。「これが使えるのってどんなシーンだ?」みたいなことを考えるのが、面白いんですよね。

――ところで、「死んでも生きろ」という本作のキャッチコピーは、『新世紀エヴァンゲリオン』の「みんな死んでしまえばいいのに」であるとか、『ブレンパワード』の「頼まれなくたって生きてやる」、『もののけ姫』の「生きろ」とか、いろいろな名作のイメージを喚起されるのですが。

荒木 おおー、そういう風にいわれると……あるのかなぁ(苦笑)。いやでも、自分としてはそのキャッチコピーに関してはストレートそのまま路線というか、作品に登場するものを端的に、馬鹿正直にあらわしたキャッチコピーです。コピーの部分では、過去の作品のことを意識してはいなかったですね。作っているときには、やっぱ自分は「ファーストガンダム」(=『機動戦士ガンダム』)の影響があると感じながら作業をしていましたけど。「この作品でやろうとしていることはなんだろう?」と考えていくと、「ファーストガンダム」の中にあった人間の、世界の描かれ方を目指しているんだという気がすごくしたんです。あとは『進撃の巨人』は、やっぱり直近で手がけた作品だから、どうしても考え方が影響されているなと思います。でもあくまで背景においてある感じで、ドラマはそれこそ「ファーストガンダム」から始まる、富野由悠季監督の系列にある作品の中で感じた気持ちよさみたいなものを、やろうとしている感じですね。富野さんとは『Gのレコンギスタ』で直接お仕事もご一緒させていただいて、目の前で仕事を見たことで、お客さんとして見ているとき以上に吸収できた部分があったんです。「人間関係の肌触りの描き方」みたいなところなんですが。それは今回の作品に活かされていると思いますね。

Interview&Text By 前田 久


●作品情報
TVアニメ『甲鉄城のカバネリ』
news-1603172030-8

2016年4月7日よりフジテレビ“ノイタミナ”他にて毎週木曜24:55〜放送開始!

フジテレビ    4/7より毎週木曜 24:55〜 (初回放送 4/7 24:25〜)
北海道文化放送  4/10より毎週日曜 25:15〜(初回放送 4/10 25:45〜)
岩手めんこいテレビ 4/7より毎週木曜 24:55〜 (初回放送 4/7 24:25〜)
仙台放送     4/7より毎週木曜 26:10〜
秋田テレビ    4/7より毎週木曜 25:20〜
さくらんぼテレビ 4/7より毎週木曜 24:55〜 (初回放送 4/7 24:25〜)
福島テレビ    4/7より毎週木曜 25:55〜
新潟総合テレビ  4/7より毎週木曜 25:45〜
テレビ静岡    4/7より毎週木曜 25:35〜
東海テレビ    4/7より毎週木曜 26:20〜
関西テレビ    4/7より毎週木曜 25:55〜
テレビ新広島   4/7より毎週木曜 26:00〜
テレビ愛媛    4/7より毎週木曜 25:00〜
テレビ西日本   4/7より毎週木曜 25:55〜
サガテレビ    4/8より毎週金曜 24:55〜
テレビ熊本    4/7より毎週木曜 25:45〜
鹿児島テレビ   4/7より毎週木曜 26:05〜

【スタッフ】
監督:荒木哲郎
シリーズ構成/脚本:大河内一楼
キャラクター原案:美樹本晴彦
アニメーションキャラクターデザイン/総作画監督:江原康之
音楽:澤野弘之
脚本:瀬古浩司
助監督:田中洋之
設定統括:笠岡淳平
仮想世界調整:三輪清宗
コンセプトアート&デザイン:森山洋
デザインワークス:形部一平
コンセプトボード:吉田史朗
プロップデザイン:常木志伸
美術デザイン:谷内優穂、曽野由大、青木薫
デザイン協力:玉川慎吾
総作画監督:丸藤広貴、浅野恭司
アクション作画監督:川野達朗、世良悠子
メインアニメーター:手塚響平
ビジュアルエフェクトアニメーター:松本幸子
美術監督:吉原俊一郎
色彩設計:橋本賢
撮影監督:山田和弘
CGディレクター:薮田修平
音響監督:三間雅文
音響効果:倉橋静男
編集:肥田文
アニメーション制作:WIT STUDIO

OPテーマ:「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」EGOIST
EDテーマ:「ninelie」Aimer with chelly (EGOIST)

【キャスト】
生駒(いこま):畠中 祐
無名(むめい):千本木彩花
菖蒲(あやめ):内田真礼
来栖(くるす):増田俊樹
逞生(たくみ):梶 裕貴
鰍(かじか):沖 佳苗
侑那(ゆきな):伊瀬茉莉也
巣刈(すかり):逢坂良太
吉備土(きびと):佐藤健輔
美馬(びば):宮野真守

●イベント情報
特別先行版「甲鉄城のカバネリ 序章」
3月18日(金)より1週間限定ロードショー
配給:松竹メディア事業部

来場者特典:「甲鉄城のカバネリ」アニメーションキャラクターデザイン・江原康之描き下ろしイラスト入りミニ色紙デザイン
※数量限定。無くなり次第、終了となります。

<特別先行版「甲鉄城のカバネリ 序章」舞台挨拶>
会場:新宿ピカデリー

3月18日(金) 19:40の回上映後
登壇者(予定):和田丈嗣プロデューサー/山本幸治プロデューサー/大河内一楼(シリーズ構成/脚本)
料金:全席指定 1,650円

3月19日(土) 19:40の回上映後・21:35の回上映後
登壇者(予定):畠中祐/沖佳苗/伊瀬茉莉也
全席指定 1,650円

3月20日(日) 9:00の回上映後
登壇者(予定):千本木彩花/内田真礼/佐藤健輔
全席指定 1,650円

3月20日(日) 19:40の回上映後・21:35の回上映後
登壇者(予定):畠中祐/伊瀬茉莉也/佐藤健輔
全席指定 1,650円

3月21日(月・祝) 19:40の回上映後・21:35の回上映後
登壇者(予定):千本木彩花/増田俊樹/佐藤健輔
全席指定 1,650円

※登壇者は予告無く変更になることもございますのであらかじめご了承ください。

チケット発売中
受付:チケットぴあ
※インターネットのみでの受付となり、受付の際、ぴあへの会員登録が必要となります。※お席はお選びいただけません
※チケットは先着順の発売となります。予定枚数終了次第販売終了となります。
※チケットの販売は、お一人様2枚までとさせていただきます。

©カバネリ製作委員会

関連リンク

 

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP