INTERVIEW
2016.02.25
7月でデビュー5周年を迎えるChouCho。この間、さまざまなアニメ・ゲーム・TV番組の主題歌を歌ってきた彼女が、12枚目となる今作で新たな場所へと飛び立とうとする。表題曲で、カップリング曲で、彼女が詞に託した思いと歌に込めた感情とは?
印象的なサビなのでインパクトのある単語をあてたくて
――まずは原作に対する印象を教えてもらえますか?
ChouCho 吹奏楽部を中心とした青春学園ものと聞いていたんですけど、原作を読んでみたら本格的なミステリーで。でも人が死ぬとかはなく、日常のなかにある謎を分かりやすく、テンポのいい文章で書かれていたので読みやすかったです。
――作詞するうえでポイントとしたところはどこでしたか?
ChouCho 「三角関係」ですね。そこを歌詞に込めたいと思いました。あと、学生時代にはよくある、言葉では説明できないもやもやした部分とか矛盾とか、そこも込めたいとは思っていました。
――楽曲をいただいたときはどんな印象でしたか?
ChouCho エンディングということでしっとりした曲を予想していたんですけど、意外とリズミカルでオシャレな感じで。メロディとビートが印象的な曲でした。でも、何よりもサビの頭にすごくインパクトがあって、そこにキャッチーな言葉をはめたいと思いました。それでメロディを何回も聴いて、心に残るような言葉を捜しました。
――それが“トライアングル”?
ChouCho そうです。インパクトがあるし、自分でも気に入っていますね。
――作詞で苦労したところは?
ChouCho この曲に関しては、言葉をメロディに当てはめるところで悩みましたね。ただ、対比となる言葉を言葉遊びみたいに入れたり、心地よく聴こえる言葉を選んだり、そうやってリズムを生みたいという考えだったので歌詞を考えるのはそんなに難しくはなかったです。
――レコーディングではどんな気持ちで歌ったんですか?
ChouCho ここまでビートが効いた曲を歌ったことってないんですよ。バンドを組んでいたときもロック系だったので、打ち込みとかダンス・ミュージックって経験がなかったんですよね。だから、いつもどおりの感じで歌うとなかなかビート感が表現できないと思ったので、ディレクターさんと相談しながら、二拍目と四拍目を強調して歌っています。あと、メロディにリズムがあるので、感情を込めるというよりは言葉をリズムにうまく乗せて、ちょっと無機質な感じにしました。Aメロはクールでおしゃれなメロディやアレンジなので、歌い方も合わせています。いつもとは違うアプローチを実験的に試すことで完成した曲でしたね。
――いつもと違う歌い方をつかむために何か工夫したんですか?
ChouCho 曲をよく聴いて曲の中に溶けこむ、って感じでしたね。私は普段から曲に寄せて歌うことを心がけているので。
――そこは自分でもうまくいった感じが?
ChouCho どうでしょう?(笑)。でも完成した曲を聴いてみるとイメージどおりには出来たのかな?
――PVもいつもと違う撮影だったと聞きました。
ChouCho こんなにCGを使うPVって初めてでした。「ここはすごく広い空間で大空です」みたいなことを言われるんですけど、でもそこにはグリーンバックに階段しかなくて。完成するまではどうなるかが分からないので面白かったです。想像力を働かせながら、どう組み合わされるのか、ワクワクしながら撮影していました。でも、あんなに壮大な映像になるとは思わなかったです。自分の想像力の範囲って(人差し指と親指で大きさを示して)これぐらいしかないじゃないですか?(笑)。
――お気に入りのシーンは?
ChouCho キラキラした塊に手を伸ばすんですけど、塊が弾けたときにハッとした顔をしているシーンですね(笑)。あれも、撮影では小さな明かりだけが置いてあって、「そこに向かって手を伸ばしてください」と言われただけで。想像を膨らませていました(笑)。
――ジャケットも同じイメージだったんですか?
ChouCho いえ。ジャケットは「無機質なイメージで」というお話をさせてもらって。あとは、ストレートに三角をモチーフに使うのではなく、いろいろなものに三角が隠れているのがいいという話になった、それがヘッドドレスやCGのカクカクしたところに表れています。
――撮影ではよく意見を出されるほうなんですか?
ChouCho そうですね。PVでは、ビート感を映像で表現したいと思っていたので、ストップモーションというアイデアを出しました。あのシーンって実はアナログで、何枚もの写真をコマ送りにしているんです。曲を聴いたときからそういうイメージだったので、実現してすごくうれしいですね。
――カップリングの「Tomorrow is another day」は曲を受け取ったとき、どんな印象でしたか?
ChouCho すごく暖かくて柔らかくて……、「歌いたい」って思わされる曲でした。だから、「空想トライアングル」とは別の世界観にできたら、って思いました。この曲も、サビの頭がポイントになると思ったので詞はそこから膨らませています。ただ、人と人との距離を書いてみたいという気持ちは前から断片的にあったんですよ。なので、心のつながりを植物に例えて表現してみました。
――佐藤純一(fhána)さんには何かオーダーは出されたんですか? 曲を作ってもらうのはすごく久しぶりですよね。
ChouCho すごく久しぶりですね。でも、オーダーはまったくなかったです。自由に作っていただきました。ホント、さすがですね。心に残るキャッチーなメロディで。以前に2曲(「looping star」「life is blue back」)提供していただいているんですけど、どちらもお気に入りで大好きな曲なんです。今回も歌えて嬉しいですね。
――曲の説明とかはありましたか?
ChouCho いえ、まったく。でも、曲をいただいたすぐ後にお会いしたときは、「時期的にちょっとクリスマスっぽい雰囲気が出ちゃった」って言ってました。「でも、発売は2月だもんね」って(笑)。
――いつもの飄々とした感じで(笑)。
ChouCho マイペースで面白い方ですよね。以前に曲をいただいたときはまだ全然「知らない方」だったんですけど、fhánaでデビューされてからは何度も共演して、仲良くなれてうれしいです。
――(笑)。この曲はどんな意識で歌ったんですか?
ChouCho 実はこの曲もリズムがキーになっていて、R&Bっぽい跳ね感があるんです。こういう曲もそんなに歌ってこなかったので、やっぱり練習しました。
――グルーヴ感がありますね。
ChouCho そうなんですよね。それにこの曲に関しては感情も込めたかったので、そのバランスをとるのがすごく難しかったです。
――今年がデビュー5周年ということですが、ここまでの足跡を振り返るといかがですか? 成長した自分を感じるとか。
ChouCho あっという間ですごく濃い5年間でした。一瞬すぎて、12枚もシングルを出させていただいたなんて信じられないですね。私はすごく上がり症で、最初の頃はライブも緊張しすぎて楽しむ余裕がなかったんですけど、今では皆さんの前で歌うことがとても楽しいです。「もっと伝えたい」って気持ちがどんどん強くなっていますね。
――5年のなかでのターニングポイントというと?
ChouCho やっぱり『ガールズ&パンツァー』のOP(「DreamRiser」、「piece of youth」)ですね。劇場版の主題歌を歌うことにもなりましたし、このアニメで私を知ってくれた人も多いと思います。レコーディングでは「戦車と女の子」というキーワードだけで歌ったんですけど、放映されると回を増すごとに話題になり、想像以上の反響になっていきましたね。この曲で“アニサマ2013”にも出させていただきましたし、「大洗あんこう祭」(2015年11月15日)に出演したときは11万人が集まって、すごい渦に飲み込まれた自分を感じました。
――最後に、今回のシングルはどんな一枚になったという感覚ですか?
ChouCho 今回のシングルは、今までのChouChoの要素は残しつつも新たな魅力の詰まった一枚になっていると思います。とても爽やかだけどちょっとおしゃれな雰囲気があって、“ループ”して聴いていただけたらうれしいですね。
Interview&Text By 清水耕司(セブンデイズウォー)
●リリース情報
TVアニメ『ハルチカ~ハルタとチカは青春する~』EDテーマ
「空想トライアングル」ChouCho
2月24日発売
品番:LACM-14458 価格:¥1,200+税
<CD>
1.空想トライアングル
2.Tomorrow is another day
3.空想トライアングル (off vocal)
4.Tomorrow is another day (off vocal)
ChouCho ベストアルバム
5月25日発売
【初回限定盤(CD2枚組+BD)】
品番:LACA-35565 価格:¥4,200+税
【通常盤(CD2枚組)】
品番:LACA-15565 価格:¥3,500+税
●ライブ情報
5周年記念イベント開催決定!
2016年7月31日(日)
場所:渋谷duo MUSIC EXCHANGE
※詳細は後日発表
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