INTERVIEW
2016.01.27
アニメ音楽界の第一線で活躍する畑 亜貴、田代智一、黒須克彦、田淵智也の4人が一堂に会し結成された異色のユニット・Q-MHz。1月27日発売の1stアルバム『Q-MHz』は、メンバーに加え、アレンジャー陣、さらにはフィーチャリングシンガー陣を揃えた豪華な顔触れによる、まさに期待どおり、いや、期待以上の一枚に。デビューアルバムのリリースに合わせ、畑・田代・田淵によるロングインタビューをお届けする!
――まずこうなったいきさつから聞いてみたいのですが、『夜桜四重奏 -ハナノウタ-』の「桜新町の鳴らし方。」で一度4人で曲を作る機会があって~という話はうかがっています。実際結成に至るまではどういうふうな流れだったのでしょうか?
田淵智也 『夜桜~』のときにトイズファクトリーのディレクターの人が「楽しかった」って言ってくれて、その延長になることができたらいいなとはぼんやり思ってたんです。ただ具体的には何も決まってなかったです。何度となく飲み会を重ねて「あのとき楽しかったよね」とか言ってるだけだったんですが、それがトイズファクトリーってレーベルからCDを出していただけるということになったことで、チーム名義で出さなきゃいけないってことで。
畑 亜貴 出していただけるとなったら急に「よーし気が変わらないうちに固めちゃうぞ!」ってなって(笑)。
田代智一 そこで、じゃあ「結成しましょう!」となった。逆に言うとそのお話がないのにとりあえず結成して活動していくってノリではなかったですね。
田淵 全体の空気感を面白がってくれる人がレーベルやシンガーさん、さらにはアレンジャーの方にもいてくれたりしたので、恵まれてたタイミングで集まれたと思います。
――アルバム出すのが決まってからチームとして結成する話になったんですね。
畑 そうなると勢いがついて名前も考えちゃうぞ、と。最初は私がチーム名を考えたんですが、それはどうしてもみんな嫌だと言って(笑)。
田代 本気だったんですかあれ(笑)。
畑 (笑)じゃあみんなで考えようよって話になりました。
――名前もそうですが、ソングライティングの面でも合議制で民主的に解決しているんですか?
畑 楽しく揉めてました(笑)。
田淵 名前順ですら揉めましたからね。最初に名前出すのが嫌だって。(畑・田代・黒須・田淵の)この並びがニュースとして一緒に発表されることになってたから、アーティスト写真の並びで横から「田淵いちばんでいいんじゃない?」って言われたんですけど、筆頭になったらキャリア的に下っ端の僕が引き連れ回してるみたいでそれは違うなって。
田代 いろいろありましたね、あいうえお順とかいろんなアイデアがありました。
――揉めてますね(笑)。妥協はしないモノ作りというのはそういうものかもしれませんね。では実際に制作はどのように進んでいったのでしょうか?
田代 メロディや構成を共作してる部分は、僕がある部分を作って続きをつけてもらったり、アイデアが飛んできてその前後を作ったりとかはすごく面白かったですね。それは元になった『夜桜~』のときにやったことなんですけど、あそこで共作がこんなにライトにできるんだってノウハウが作られて、途中まで作ってバトンタッチするという流れができました。
――それが循環して曲になるっていうQ-MHzシステムですね。
田代 自分だったら絶対アイデアにないようなメロディが飛んできて、これを歌モノに成立させるにはどうしたらいいだろうと考えたり。
田淵 絶対安心して任せられるというのは強かったです。僕だったらメロディでバンといくところは書けるけどイントロの引き出しが少ないというときに、田代さんに「イントロお願いしていいすか」って投げるのは、この人なら自分にないアイデアでより良い形にしてくれるだろうと思ってるからですし。
――なるほど! その作り方ってそれぞれの強みを活かした部分でもあると思いますが、逆にユニットでしかできないことというのはどう考えられてますか?
畑 私はQ-MHzで今までと違う作詞のアプローチもしたいなと思ってて。今回田淵君が作詞するうえで、彼は私と作風が全然違うじゃないですか。なので研究してやろうかなと思って(笑)。
田淵 スパイ?(笑)
畑 そうそう(笑)。例えば私は文を短くして並べてくのが好きなんですけど、田淵成分として一行を長くしてみたり。聴いてみてもしかしたらどっちがどう作詞してるかわかりづらい部分があるかもしれない。
――クレジット上ではQ-MHzですからね。
田代 畑さんが書いたのに田淵君を意識して書いたところがネットで「ここ絶対田淵だろ」って言われたらニヤッとするみたいな(笑)。
畑 そういう罠をいっぱい作って(笑)。
田淵 いやーすごい嫌な人ですね(笑)。
畑 お茶目と言ってよ(笑)。
田代 僕もよく「転調が多い」ってネットに書かれてるので、「あえて転調しない田代君もいいんじゃない?」って黒須君から言われて気が楽になったというか、本当に自由に作曲できましたね。
田淵 実は僕も一ヵ所田代さんの昔の曲を参考にしたことがあるんですよ(笑)。
田代 そうなの!?(笑)
畑 (笑)チーム内パクリ!? スパイしたりパクったり大変だね。
――(笑)それぞれお互いのセンスを意識しながらっていうのはクリエイターユニットならではですよね。一方、今回のアルバムの魅力としてシンガー陣の顔ぶれという部分もありますが、これはどのように決まっていったんでしょうか。
田淵 個々人で活動してるなかでご縁のある人、あとは歌がかっこいい人……そして最終的にユーザーが聴いたときのまとまりを考え性別は一緒、ジャンルが近い人、ということで決まってきました。やっぱりただ好きに作りましたってことじゃなくてユーザーが聴いて「いいな」と思われないとやる意味がないので、商品としてしっかり成立させるためにボーカルの力が必要だったのでそこはしっかり考えています。
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