REPORT
2015.11.29
『アイドルマスター シンデレラガールズ』の3rdライブイベント「シンデレラの舞踏会 Power of smile」が11月28日・29日、幕張メッセホール9〜11を利用した特設ステージで行なわれた。今回は28日に開催された初日公演をレポートする。
先月まで放送されたTVアニメ『シンデレラガールズ Season』において、物語の中心となるシンデレラプロジェクトのアイドルとプロデューサー、そして志を同じにするアイドルたちが目指し、最終25話でついにたどり着いたのが「シンデレラの舞踏会 Power of smile」だった。歌って踊るだけに留まらなかったアニメのライブに倣うように、今回のライブは映像演出や、舞台やミュージカル的な演出、カボチャの馬車(トロッコ)で会場を縦横に走り回る演出が多用されたエンターテイメントショーとなった。当日11月28日は、4年前にモバゲー版『シンデレラガールズ』がサービスインした記念すべき日ということもあり、ライブ中には『シンデレラガールズ』4周年キャンペーンの内容や、『シンデレラガールズ スターライトステージ』の12月新キャラクターとして櫻井桃華、三船美優、喜多見柚の3人が追加されること、オリジナル楽曲第2弾「Snow Wings」が近日実装予定であることが明かされていた。
初日には大橋彩香(島村卯月役)、福原綾香(渋谷凛役)、原紗友里(本田未央役)、青木瑠璃子(多田李衣菜役)、五十嵐裕美(双葉杏役)、大空直美(緒方智絵里役)、大坪由佳(三村かな子役)、黒沢ともよ(赤城みりあ役)、高森奈津美(前川みく役)、松嵜麗(諸星きらり役)、山本希望(城ヶ崎莉嘉役)、佳村はるか(城ヶ崎美嘉役)、桜咲千依(白坂小梅役)、金子有希(高森藍子役)、鈴木絵理(堀裕子役)、立花理香(小早川紗枝役)、津田美波(小日向美穂役)、三宅麻理恵(安部菜々役)、杜野まこ(姫川友紀役)、和氣あず未(片桐早苗役)、松田颯水(星輝子役)、武内駿輔(プロデューサー役)が登場した。
シンデレラプロジェクトの「プロデューサー」の挨拶と、新人レポーターとして会場に登場した武内のフロアレポートでライブはスタート。彼が徒歩で観客を煽りながら歩いてまわったことで、会場の広大さを改めて実感する。会場奥のメインステージはお城のような装飾と、5面のスクリーンを配置した壮麗なメインステージ。花道で繋がるセンターステージは円形で、円形舞台全体や中央部がせりあがったり、回転したりとギミック満載だ。
ライブ中には時折曲間にシンデレラの大時計が表示され、プログラムの進行とともに時計の針が12時……シンデレラの魔法の終わりとされる時間を目指して進んでいく演出がされた。冒頭プロローグパートには既に12時を過ぎた時計が表示されていたように思ったが、これはTVアニメの冒頭が高垣楓たちのライブからはじまったように、今の出演者たちが全員で顔見せと自己紹介を行なったあとに『1st Season』の物語の世界に時計を巻き戻して舞台を演じるような意図を感じた。
プロローグパートはシンデレラプロジェクト+佳村はるか(大橋、原、福原、大空、五十嵐、大坪、高森、青木、黒沢、松嵜、山本、佳村。以下、シンデレラプロジェクト組)がメインステージに、それ以外のメンバーはセンターステージに勢揃いしての「お願い! シンデレラ」からスタート。名乗りはプロジェクトの垣根を越えた「私たち、シンデレラガールズです!」だ。シンデレラプロジェクト組の自己紹介代わりの「Star!!」では、ラストのサビ前に全員が花道を通って歌いながらセンターステージに移動。近くに来ると、いつも以上に笑顔があふれているのが「Power of smile」を実感させる。続く「We are the Friends」では、残りのメンバーがカボチャの馬車のトロッコに乗って登場。会場を駆け巡りながらのパフォーマンスを見せた。
「Everyone’s smiles」パートは、大橋、津田、立花の「S(mile)ING」でスタート。「S(mile)ING」といえば第24話で、卯月が万感の思いを込めて歌った新録バージョンが印象的だが、これはフラットなバージョン。「素直に笑えていた頃の卯月ですよ」という意図をより明確に伝えるためのトリオ構成だろうか。ソロを津田たちに渡している間、大橋が満面の笑みでダンスに専念しているのが新鮮だ。凸レーションの「LET’S GO HAPPY!!」では「みんなでもりあがっちゃおー!」の声とともに3人が3方向に別れて走り、コールアンドレスポンスタイム。センターステージに戻る時、黒沢がくるくるとバレリーナのようなターンを見せてHappy度マシマシな感じだ。
そして圧巻だったのが、キャスト同士の掛け合いを活かした舞台仕立ての楽曲3連発だ。「気持ちいいよね一等賞!」ではセンターステージの松嵜が投げた豪速球を、花道奥のメインステージにいる杜野がホームランでかっ飛ばすまさかの野球演出。ゆっこのサイキックを、神経衰弱仕立てのコミカルな映像で再現した「ミラクルテレパシー」、そのゆっこが超能力でCANDY ISLANDを呼び出しての「あんずのうた」と畳み掛けた。五十嵐、大坪、大空の「あんずのうた」で、かな子役の大坪がひたすら「飴食べたい」パートを歌っているのも愛を感じる。曲中のおなじみとなった杏が休憩するコーナーでは、なんとぬいぐるみを持った三宅がポップアップで登場し熱唱していた。バラエティ豊かなこのコーナーを締めたのは、あえてソロの毒茸伝説。スクリーンに猛々しく生えるベニテングダケが炎上する映像演出の中、松田颯水が見せたパフォーマンスは圧巻の一言。広大な会場とド派手な演出と、輝子のキャラクターをまとった松田の歌唱の力が真っ向から渡り合う姿は痛快だった。
休憩を兼ねた「あんずときらりのシンデレラ舞踏会あんきらンキング! 声優・開発スタッフが選んだ!お嫁さんにしたいアイドルランキング」では、新田美波が1位を獲得。杜野が野球の4番になぞらえて4位を狙っていたところ、松嵜演じるきらりが4位にさらっと入っていたのは隠れたニヤリポイントだった。
「Everyone’s smiles」パート後半は、佳村の「TOKIMEKIエスカレート」からスタート。ここでは原、大橋、福原の3人がダンサーとして登場し、美嘉が3人をバックダンサーに指名した第3話のニュージェネ初ステージを再現してみせた。「ØωØver!!」で高森と青木がいつもの夫婦掛け合いを見せたり、「メルヘンデビュー!」で、高森の「ミミミンミミミン!」コールに答えて三宅が登場したりと、アニメを髣髴とさせるシーンがある一方、和氣の「Can’t Stop!!」ではセンターステージが突如80年代末のジュリアナ東京に変身。ものすごくお立ち台と扇子が似合う立花たちをダンサーとして従えて、バブル感全開で歌う和氣はシンデレラライブ初参戦とは思えないほど活き活きとしていた。
パートの締めは原、大橋、福原の「new generations」による「ミツボシ☆☆★」だ。この曲はアニメでは歌われていないが、もし第24話で歌われたのが「S(mile)ING」でなければ、そこにあったのはきっと「ミツボシ☆☆★」だろうと思うぐらい3人の心情にぴったりな楽曲だ。オレンジの海を前に、原が「こんなにたくさんの声援をもらって、アイドルやめなくて良かった!」と叫び、それに応えるように鳴り響く歓声は忘れられない光景となった。
スペシャルロングメドレー「Medley of smiles」パートは、全員参加のライブ感が強い。歌っているメンバー以外もトロッコで会場を回りながらサイリウムを振って応援したり、「花簪 HANAKANZASHI」でダンサーとして和傘を回したりと盛り上げに参加。「Orange Sapphire」や「ススメ☆オトメ 〜jewel parade〜」ではライブ初参加の杜野と和氣が、そこにいるのが当たり前のように馴染んでいた。だがこのパートの肝は、やはり今日のライブには参加できなかったシンデレラプロジェクトの仲間、「LOVE LAIKA」と「Rosenburg Engel」の楽曲が歌われたことだろう。特に松田と桜咲の「‐LEGNE- 仇なす剣 光の旋律」は、まるで持ち歌のように伸び伸びと、らしく歌う松田と、桜咲の繊細でキュートなボーカルがぴったりとハマっていた。バラエティに富みながらも、「Shine!!」ではじまり「GOIN’!!!」で締める起承転結のはっきりしたメドレーだった。
後半戦「Flowers of a smile」は、出演者の表情や佇まいが印象に残るステージが多かった。「あいくるしい」で牧野由依のパートを担当した五十嵐はまるで歌の世界がその身に乗り移ったように美しかったし、「風色メロディ」で大天使さながらのパフォーマンスを見せた大空の小さな笑みは智絵里そのものだった。「つぼみ」では、スクリーンにオレンジ色の一面の花のつぼみを黄金の夕日が照らす光景が映し出され、それをバックにせり上がりの上で歌う原は浮世離れした美しさだった。
「Never say never」で花道を決然として歩く福原の姿は、2ndライブを思い出す。凛は花道を歩く時、観客一人一人に手を振って回るタイプではないから、というきっぱりとした姿勢は変わらない。だがその表情はどこかおだやかで、自信に満ちて。凛と共に福原も成長してきたことをはっきりと感じさせた。最高にかっこいいステージの中で見せる間奏の万感の微笑みや、ラストの華が咲くような笑顔の全てが印象に残った。そして三者三様の笑顔が見られたのが、new generationsの「できたてEvo! Revo! Generation!」だ。3人がセンターステージに集まってくるところで、福原と視線を合わせた大橋の笑顔から「凛ちゃん!」という声が聞こえてくるようだった。ラストのキメでは大橋が満面の笑顔を、福原がおだやかな微笑みを浮かべる。センターの原は…? と思ってみると、夢心地のような、遠くを見るような笑顔だったのが、なんだかとてもしっくりきた。
ライブ本編のフィナーレは、「夢色ハーモニー」「M@GIC☆」「夕映えプレゼント」という分厚い畳み掛け。様々な名シーンが再現されたライブだったが、「M@GIC☆」でライブに参加した全員が並んで一心に歌う姿がどのシーンにも負けないほど胸に迫ったのは、アニメと今日の一日の積み重ねがあればこそだろう。
本編の終了とともに、スクリーンの時計の針は12時を示す。魔法の時間の終わり。その先の扉を開くのは、ファンたちの鳴り止まないアンコールだ。鳴り響く歓声に後押しされるように時計の長針が進むと、ステージは12時の向こう側の世界へ。物語は、2日目のステージへと続く。
取材・文:中里キリ
THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 3rdLIVE シンデレラの舞踏会 – Power of Smile –
1128幕張イベントホール 初日セットリスト
M01:お願い! シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M02:Star!!(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、佳村)
M03:We are the friends!(津田、桜咲、鈴木、三宅、立花、杜野、松田、金子、和氣)
M04:S(mile)ING(大橋、津田、立花)
M05:LET’S GO HAPPY!!(凸レーション/松嵜、山本、黒沢)
M06:気持ちいいよね一等賞!(杜野)
M07:ミラクルテレパシー(鈴木、原、金子)
M08:あんずのうた(CANDY ISLAND/五十嵐、大坪、大空 with 三宅&うさぎ)
M09:毒茸伝説(松田)
-あんずときらりのシンデレラ舞踏会あんきらンキング-
M10:TOKIMEKIエスカレート(佳村 with new generations/原、大橋、福原)
M11:ØωØver!!(*/青木、高森)
M12:Can’t Stop!(和氣 with 立花、松嵜、津田、金子)
M13:小さな恋の密室事件(桜咲、山本、黒沢)
M14:メルヘンデビュー!(サイキック猫Ver.)(三宅、高森、鈴木)
M15:ミツボシ☆☆★(new generations/原、大橋、福原)
-MC-
【スペシャルロングメドレー】
M16:Shine!!(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、佳村)
M17:Orange Sapphire(三宅、杜野、和氣、金子)
M18:Romantic Now(黒沢、佳村、山本)
M19:おねだりShall We 〜 ? (高森、大橋、松嵜)
M20:Happy×Days(CANDY ISLAND/五十嵐、大坪、大空)
M21:ススメ☆オトメ〜jewel parade〜(原、鈴木、三宅、杜野、立花、和氣)
-蘭子とアナスタシアのウェーブでPOWERを送りましょう-
M22:Memories(福原、青木)
M23:-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律(松田、桜咲)
M24:花簪 HANAKANZASHI(立花、鈴木)
M25:メッセージ(松田、津田、金子)
M26:GOIN’!!!(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、佳村)
-十時の休憩前MC放送事故風味-
(休憩明けBGM:アップルパイ・プリンセス)
M27:shabon song(佳村、津田)
M28:お散歩カメラ(金子、青木、高森)
M29:ショコラ・ティアラ(大坪 with お菓子配り隊)
M30:あいくるしい(立花、五十嵐)
M31:風色メロディ(大空)
M32:つぼみ(原、鈴木、桜咲、和氣、松田、杜野、三宅)
M33:Never say never(福原)
M34:できたてEvo! Revo! Generation!(new generations/原、大橋、福原)
M35:夢色ハーモニー(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、佳村)
M36:M@GIC☆(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M37:夕映えプレゼント(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、佳村)
EC01:とどけ! アイドル(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
EC02:お願い! シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
© BNEI/PROJECT CINDERELLA
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