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INTERVIEW

2015.10.16

ニューアルバム『PARABLEPSIA』発売記念 川田まみ超ロング・インタビュー!

M-12. Break a spell(TVアニメ『東京レイヴンズ』新EDテーマ)
作詞:川田まみ 作曲:尾崎武士 編曲:尾崎武士/中沢伴行

――そしてここで「Break a spell」!

川田 だんだん落としつつ、最後だけグッと上げる曲が欲しくて、だったらこれだろうと。尾崎サウンドが“らしい”感じの曲になっています。ただ彼の楽曲ってAメロとかBメロのうねるような感じで表現してくることがすごく多くて、まあ歌いづらいですね(笑)。そのくせ音が一気に飛んだりして、毎回テクニカルなものを要求してきます。彼にとっては初めての作曲でのシングルリリースだったので、すごく緊張して誰よりも原作をリサーチしたりして『東京レイヴンズ』の世界観を落とし込んでくれました。

――ハードなギターサウンドが尾崎さんらしく、『レイヴンズ』の世界観にもマッチしてますよね。

川田 ギターから作った曲なので、ライブ向きでもあるんですよ。何度か披露させていただきましたが、今後もライブでやっていきたい楽曲ですね。

M-13. Dendritic Quartz
作詞:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行

――そしてラスト、直訳すると「樹枝状の水晶」「水晶の樹」といった感じでしょうか?

川田 そう、これはそういう名前の水晶があるんです。中の鉄分が植物の枝状に見えるだけっていう話なんですが、水晶の中に植物が眠っていると言われる石なんです。私は1stアルバム『SEED』で「seed」という楽曲を作ったんですけど、あのときに「私は種だよ」って言っていて。そのアンサー・ソングでもないですけど10年越しに作った対応する楽曲です。「あれから私はどうなった?」ということで、あのときは「無知だけどそれが強みです」って歌詞を書いていました。今思うとずいぶん調子いいこと言ってたなって(笑)。歌詞で言葉遊びのように、無知は無力を知ってと続きを描いていて、あのときの種はここにいて、こうやって閉じ込めていつまでも枯れない花でいたい、という私なりの想いをこめた曲が最後を締めくくるのに相応しいだろうと書きました。

――まさに今だからこそ書ける歌詞ですね。

川田 いろいろと経験して、無力な自分をたくさん知ってきた10年、あのときの花は枯れずに心の中で咲いていますという風に書きたいと。Dendritic Quartzという言葉を知ったとき、調べたらすぐに出てきて、買ってみてずっと見ています(笑)。私の中の永遠の願いを閉じ込めた楽曲です。

 

<Creater Comment BY 中沢伴行>

・アルバム『PARABLEPSIA』制作中の思い出は?
今回のアルバムは毎週、集まってみんなでミーティングを重ねながら進めていくと言うスタイルで制作しました。(東京の舞ちゃんにも毎週、スカイプで会議に参加してもらいました。)
デジタル全盛の今ですが、やはりモノを作っているのは人間だし、そういう触れ合う事から生まれるエネルギーが確実に存在すると思います。
また配信が主流になってきている今、アルバムというものにどういった意味があるのか、もう一度よく考える時期にきているのだと思います。
アルバムを作るからにはコンセプト、世界観をしっかりもつという事が今まで以上に大切だと感じています。
だから音楽だけでなく、ビジュアル・イメージなどもスタッフみんなで共有し『PARABLEPSIA』と言う一つの世界が出来上がるように頑張りました!
せっかく盤をつくるんだから、ジャケットも世界感を反映した面白いものにしたいね。という話になり、いつもお世話になっているNBCのプロデューサーさんに話したら、絶対いろいろと大変なのに、「面白いね。やろう!」と言ってくれて。
そういうしたいろいろな人たちの思いがたくさんつまったアルバムであります!
内容的には川田まみの集大成であり、また新たに脱皮した川田まみも魅せる!というコンセプトの元スタートしたのですが、そんなアルバムになったと思います!

・ご自身が提供された「Borderland」「Eager Eyes」「here.」「Dendritic Quartz」について意識した点、こだわった点などあれば教えてください。

「Borderland」
この楽曲はアニメ『ヨルムンガンド』の主題歌としてお話をいただきました。
それと同時に「川田まみ」の次のステップになるような楽曲にしたいという思いで制作いたしました。
作品の世界観からイメージしたのは「Beck」や初期の「The Chemical Brothers」のような、サンプリングされたギターにコラージュされた音像、それに乗る軽快なボーカル……。または、ヒップ・ホップのようなサウンドも作品にマッチするのでは? と感じました。
ただそのイメージを川田まみの楽曲にどのように落とし込んで行くか? ということがこの曲最大のテーマでした。
そこで、まずギタリストの武士くんにコンセプトを伝え、いくつかギターのリフをお願いしました。
これが……めちゃくちゃかっこいいギターリフばかりで、参りました!!この時点でこの曲はイケる!と思いました(笑)。
普段はメロディから楽曲を作ることが多いのですが、この曲はヒップホップっぽい手法で作りたいと思ったので、武士君のギターリフをサンプリングしたギターのように考えてそこにメロディをのせていく形で作りました。
ヒップ・ホップならここにラップをのせていくのでしょうが、川田まみが歌うのでそこは歌曲として成立するように考えていきました。
メロディも熱くなりすぎず……ココ・ヘクマティアルのように軽快なイメージになるように何度も書き直しました。
そしてコラージュされたイメージ感をだすのに高瀬さんにもシンセをお願いしまして、混沌としたヨルムンガンドの世界観により近づいたと思っています!
(高中崎伴武矢の誕生です!高中崎伴武矢……ともかくこれがいいたいです!)
こういう作り方をしたので、AメロからBメロが全てリフ中心でコードで考えるとCmのみで突き進むという、ポップスではありえない感じの曲になりました(笑)
ボーカルに関してはいろいろ経験してきた川田まみだからこそなせる表現で、とてもかっこ良く歌ってくれました!
歌詞も英語を織り交ぜつつ絶妙な表現をしていて、これは川田まみでなければ完成しなかった楽曲だと思っています!
そしてこんな実験的な楽曲がアニメのOPとして採用してもらえるなんて、大変感謝しております!

「Eager Eyes」
この曲に関してですが、イケイケノリノリ(死語!?)な楽曲です(笑)。
EMR(!?)ということで、「ジャスティス」とかっぽい感じをやりたいなと思いました。
サウンドの骨格を作ってなんか物足りない感じがしてきたんで、武士君に相談してギターのスラップ奏法を入れてもらいました!
他にもBメロも面白い感じでギターを入れてくれています。ギターっぽく聴こえているのが実はシンセだったり、シンセっぽく聴こえているのが実はギターだったりと、ギターとシンセの絡みが良い感じに出来たたなぁと感じている1曲です。
この曲は結構ハーモニーが重なっているのですが、ハーモニーはまみちゃんとアイデアを出し合いながら作りました。
ハーモニーの多さがこの曲の雰囲気を結構作っているので、そこにも着目して聴いてもらえるとうれしいです!

「here.」
この楽曲は当初からCR「ブラックラグーン」の楽曲としてお話をいただきました。
ブラックラブーンの中でも、レヴィのイメージソングということでお話をもらっていたのですが、僕がレヴィの印象で強いのが、船の上で潮風を受け髪をなびかせながら豪快に銃をぶっ放しているシーンなので、このイメージハマる楽曲を作りたいと思いスタートしました。
話をもらったときはプレッシャーもあったのですが、作り始めると楽しくてすぐにメロディと全体の構成ができました!
アレンジなんですが、もちろんすべて気に入っているのですが、実機では流れない大サビ部分の武士君のリバースしたりしてるギターがめちゃくちゃかっこいいので、是非ともフルサイズをきいてほしい一曲です!
ボーカルのレコーディングは高瀬さんにお願いしたのですが、サビにコーラスを追加してくれていて。これがまためちゃくちゃいいんです!!
そんなわけで、ドライブ中に風を受けながら気分爽快で聴いてもらえるとうれしいです(笑)。

「Dendritic Quartz」
アルバムの最後を飾る曲です。
最後なので、エンドロールような雰囲気になるような曲を目指したんですが、今回のアルバムは独特の雰囲気をもったアルバムで、激しめの曲ばかりなので、それにマッチするような〆の曲を書くのにかなり何度も作り直しました。
そんな中、まみちゃんから曲名を「Dendritic Quartz」にしたいというふうに聞きました。
「Dendritic Quartz」は結晶の中に入り込んだ植物のような模様を 「永久に枯れない植物」として珍重されていたようです。
実際は二酸化マンガンや酸化鉄が、水晶の結晶の隙間に染み込んでできあがった模様がそう見えただけで、植物だったわけではないですが、昔の人は、そう信じていたようです。この話をきいて、とてもロマンチックだなぁ。と思いまして、石を通してそういった思いがキラキラと輝いてるイメージの曲を目指しました!
最終的にはこのアルバムの〆にふさわしい曲ができたと思っています!

・『PARABLEPSIA』の中で印象的な曲は?
「I…civilization」は、元々、作曲もHARDSTUFFでやる予定だったんですが、高瀬さんから上がってきたメロディのデモがめちゃくちゃかっこ良かったんで、もう、それで行きました(笑)。そこに僕のほうでも、シンセを結構歪ませたりして、シンセでもロックなイメージがでるようにシンセを足しました。高瀬さんが、うまい感じでミックスしてくれてすごく気に入っている1曲です!
「fly blind」はサビに入る前のブリッジ部分がとても効いていてめちゃくちゃかっこいい!!と思いました。そこからのサビがめちゃくちゃ泣けます!
そのサビのバックに歪んだシンセが入っているのですが、武士君からシンセどうかな?って相談があったんでいろいろやってみたんですが、結局、武士君が入れていた歪んだシンセがいちばんかっこ良かったんで、戻しました(笑)。
武士君の思いのたくさん詰まっている大好きな1曲です!
「PIST」は舞ちゃんから、この楽曲が上がってきたときに、これはキタ!と思いました。構成が独特で始まりのしばらくリズムのない感じが緊迫感を煽っていてとてもかっこいい!と思いました。サビの抜けるイメージもとてもかっこ良くてヤラれた!!って感じで、最初に聴いたときにすぐに舞ちゃんにヤバいね!これ!って電話いれました(笑)。
TDは東京のスタジオで、まみちゃん、舞ちゃん、エンジニアさんと一緒にミックスダウンしました。なかなかそういう機会がないので、すごく楽しかったです!

・アルバム『PARABLEPSIA』リリースに向けて、改めて川田まみさんに一言!
世の中にありとあらゆる『PARABLEPSIA』がうごめいています。
そんななか、苦悩し戦いながらも、自分を見失なわずまっすぐと前を見続けようとする川田まみの姿がこのアルバムに映し出されています!
そして、そんな川田まみの姿は多くの人をきっと勇気づけると確信しています!多くの人にこのアルバムが届きますように!

 

――ここまで一曲ずつお話を伺ってきましたが、改めて濃密なアルバムですね。アルバムもリリースされ、そんな上半期の集大成としたツアーが10月からスタートしています。最後に意気込みをお願いします。

川田 今はまだまだ準備段階ですが、せっかくここまでコンセプトをアルバムに落とし込んだので、まずはこの『PARABLEPSIA』の世界観をどうやって作りこむかに集中したいです。けっこうハードな感じになるんじゃないかなって思いますね。アルバム以外の楽曲もやる予定なのでアルバムよりは少し隙のあるというか楽しんでもらえるような楽曲も披露したいと思っています。

――ありがとうございました!

INTERVIEW & TEXT BY 大用尚宏(クリエンタ)


●リリース情報
川田まみ5th ALBUM
『PARABLEPSIA』
発売中
news-1508132230-c001
【初回限定盤】
品番:GNCV-1038
価格:¥3,000+税
※初回限定盤がなくなり次第、通常盤(GNCV-1039)に変更になります
※初回限定盤特典:3Dジャケット仕様 

<収録曲>
1.Parablepsia
 作詞:川田まみ 作曲:高瀬一矢 編曲:高瀬一矢
2.Borderland
 作詞:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:高中崎伴武矢
3.I…civilization
 作詞:川田まみ 作曲:高瀬一矢 編曲:HARD STUFF
4.fly blind
 作詞:川田まみ 作曲:尾崎武士 編曲:尾崎武士
5.Eager Eyes
 作詞:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行/尾崎武士
6.PIST
 作詞:川田まみ 作曲:井内舞子 編曲:井内舞子
7.Enchantress
 作詞:川田まみ 作曲:C.Gmix 編曲:C.Gmix/尾崎武士
8.here.
 作詞:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行/尾崎武士
9.HOWL
 作詞:川田まみ 作曲:高瀬一矢 編曲:高瀬一矢
10.Replica_nt
 作詞:川田まみ 作曲:高瀬一矢 編曲:高瀬一矢
11.It’s no big deal
 作詞:川田まみ 作曲:井内舞子 編曲:井内舞子
12.Break a spell
 作詞:川田まみ 作曲:尾崎武士 編曲:尾崎武士/中沢伴行
13.Dendritic Quartz
 作曲:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行

●ライブ情報
MAMI KAWADA LIVE TOUR 2015「PARABLEPSIA 」
10月03日(土)【名古屋】ell FITS ALL
 開場17:00/開演17:30
10月04日(日)【大阪】RUIDO
 開場17:00/開演17:30
10月10日(土)【松山】サロンキティー
 開場17:00/開演17:30
10月12日(月・祝)【福岡】DRUM Be-1
 開場16:00/開演16:30
10月17日(土)【渋谷】WWW
 開場17:00/開演17:30
10月18日(日)【渋谷】WWW
 開場16:00/開演16:30
11月01日(日)【札幌】cube garden
 開場17:00/開演17:30

チケット料金 : 先行/一般予約 : 4,500円 当日券: 5,000円
※税込 / 1ドリンク代別 ※オールスタンディン

 

関連リンク

川田まみオフィシャルサイト

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