REPORT
2015.10.14
メモリアルなイベントだからこその、新たな一歩
さてここからは、西山が一旦降壇してのスペシャルライブコーナー。「浴衣だからこその曲を持ってきました(山北)」と語るそのうしろには、一台のキーボードがセッティングされていく。なんとここでは、若井の伴奏で2曲を披露。しかも若井自身によるピアノアレンジということもあり、「どのライブよりも緊張するけど、でも夢でした!」と語る若井の笑顔が眩しい。
そうしてまずは、デビュー・シングルのカップリング曲「らむねサンセット」から。澁谷が促し会場中がクラップに包まれ、残りの5人はしっとりとした雰囲気で歌唱。若井も演奏のみではなく、なんと弾き語りで自らのパートの歌唱にも参加する。美しいハーモニーを響かせながら、メンバーそれぞれが、メンバー同士や会場ともアイコンタクトを交わす。じっとゆっくり会場を見回しながら歌う者あり、振付のように様々な方へと視線を飛ばす者ありで、「イベントを“楽しい”だけで終えないのも、またi☆Ris」という姿をここでもしっかり見せてくれた。
続いてはカバー曲を披露。この形態でのパフォーマンスが決まり、満場一致で決定したというその曲目は、「secret base~君がくれたもの~」。若井の歌い出しから始まり茜屋が加わってハモるという、アルバム曲「流星」同様の息ピッタリの組み合わせだ。加えてAメロのペアは、アルバムのデュエット曲のもので構成されていた。Dメロの若井の巧みさと、久保田のラスサビの上ハモの美しさなど終盤まで聴きどころ満載だったこの曲。最後まで、誰もがじっと聴き入っていた。若井も「いちばんできた!」と、満足そうにまた笑顔。
そして再びイベントコーナー“アドリブ!? i☆Ris劇場”へと移る。このコーナーでは3人ずつのチームに分かれてテーマに沿ったアドリブ舞台を披露。ただ、あらかじめくじで指定されたキーワードを必ず組み込まなければいけない、という特殊ルールも織り交ぜたものだ。
チーム分けの結果、「山北・久保田・澁谷」と「芹澤・茜屋・若井」の2チームに。「強そうじゃん!(山北)」「いや、さきさまがいちばん強いと思う(若井)」と互いに謙遜しつつ、バトルスタート。両チームともテーマは「夏祭り」で、2分後に上がる花火がタイムアップの合図。「こういうのは早くやったほうがいいんだよ」と思い切った山北に先導され、そのままアドリブがスタートする。カップル役の山北(女・ブリっ子)・久保田(男)に、澁谷が地元の人という設定に落ち着いたこの3人、特に山北のブリっ子の熱演っぷりがすさまじい。完全アドリブとは思えないほどのキャラへの入りっぷりを見せつつ、ほかのふたりとともに花火までの展開をピッタリ合わせるという、お手本のような2分間に仕上げてくれた。
となると、やはりプレッシャーがかかるのは後攻チーム。キーワード「もう食べられないよぉ~」に合わせようと、子供口調で山積みのトウモロコシをねだりだす若井に、芹澤が「ここでキャラ変更!」と降壇。別キャラとして登場する自由っぷりを見せる。しかも茜屋もそれに追随し、気付けば若井の彼氏として再降臨している。ファンからの拍手の量で勝敗も決したのだが、やはりきれいにまとまった山北・久保田・澁谷チームの勝利。敗者3人は即興モノボケの罰ゲームを受けることに。
さて、イベントもそろそろ終盤……かと思いきや、ここでメンバーへのサプライズ。突然流れだした映像を観て、絶叫する6人。その映像は、デビュー前にi☆Risメンバー全員で初めて行った合宿の、ホテルロビーでのミニインタビューという実に初々しい姿。芹澤は自らのキャラ付けに失笑し、若井は「何この大人っぽい子?」と自分を観てつぶやいていた。さらに続けて、前述の『2h』の初回放送のダイジェストも上映。6人の初々しさもさることながら、西山の今以上のフレッシュさも見逃せないポイントでもあった。
そして今度こそイベントも終盤。この日最後の楽曲「Color」が披露される。i☆Risのデビュー曲であるこの曲だが、この日は浴衣での歌唱。この3年間、こんなに穏やかにこの曲が歌われたのはこの日が初めてではなかっただろうか。その分、いつも以上に様々な方へと目配せをし、いろんな人へ歌声に加えて視線で想いを届けていたi☆Ris。おそらく、あの場にいた人間はメンバー誰かと必ず目が合っていたことだろう。その想いを山北が間奏で、「みんな今日はありがとう!みんなのことが、本当に大好きです!」と改めて明確な言葉として口にしていたのも、グッとくる。
最後に、今度はデビュー3周年記念ライブを11月に豊洲PITで開催することを発表。ファンを再び驚かせつつ、最後にメンバーからひと言ずつ挨拶。
「i☆Risは昔『トークできない』って言われてたんですけど、成長したメンバーと、いつも反応してくれるファンの皆さんと3周年のトークイベントを迎えられてうれしかったです。これからも5周年・10周年いろんな人に知ってもらって、いろんな人に好かれるi☆Risでありたいです!(山北)」
「先ほどのデビュー前の映像のように、芹澤は昔からキャラ付けする子だったんですが(笑)。ファンのみんなが観てくれて『ゆうちゃーん!』って言ってくれないと、それもなんの意味もなくて。皆さんがこうやっていてくれるからこそゆうは輝けるし、皆様こそがゆうがここにいる理由だと思うので、これからもよろしくお願いします!(芹澤)」
「3年経って、こんなにトークイベントとかたくさんいろんなことができるようになって、自分たちでも、成長を感じられたなと思いつつ。さっきのサプライズの映像を観て、自分たちが最初の頃に言っていたような初心は忘れずに、もっともっと成長していけるように頑張りたいと思います(茜屋)」
「ずっと私がやりたかった、ピアノで弾き語りをしてみんなで歌うという夢がかなって本当にうれしかったですし、また新しいi☆Risが観れたのではないでしょうか?みんなのおかげで3周年を迎えられたので、これからももっといろんなi☆Risを観せていけるように頑張ります!(若井)」
「i☆Ris、こんなにお客さんの顔をまじまじと観ながらイベントっていうのも初めてなんじゃないかな?さっきの映像のなかで『笑顔で頑張ります』って言ってたんですけど、今日はたくさん笑えたしいろんな表情も見られたんじゃないでしょうか?これからもいろんな久保田未夢を見せていけたらいいなと思います(久保田)」
「今日は自分で着付けをしてみたんですよ。夜中までおばあちゃんに教えてもらって(笑)。こんなふうに私もちょっとずついろんなことを吸収して、皆さんにどんどん提供していきたいなと思っています。今回はゆうきの弾き語りでしたけど、今後は私もDJやったり、自分で作った曲を皆さんにお届けできる機会があるといいなと思っています。あと『気配りができる』だけでなく、率先して前に出られる澁谷梓希になりたいです!(澁谷)」
お祭りのようなステージだった昼の部だが、改めて全体を振り返ると彼女たちの新たなステップへの布石が多く隠されていることがわかる。若井の弾き語りはライブの構成の幅を格段に広げうるものだし、体を使ったアドリブ芝居も、また声優業へと間違いなくフィードバックできるものだ。
i☆Risは“声優もアイドルも本気でやる”ユニット。記念イベントでありながらも、そのふたつの柱をより強固にせんとするチャレンジングなステージだったことは、読者の皆様へぜひお伝えしておきたい。そして、そこに精一杯ぶつかる彼女たちのパフォーマンスが、これからもどんどん向上していくであろうことも。
Text by 須永兼次
“i☆Ris結成3周年イベント”昼の部
7月25日@竹芝ニューピアホール
【公演内容】
・i☆Risランキング
・i☆Risが言って あ・げ・る♪
・スペシャルライブコーナー(伴奏・若井)
M1.らむねサンセット
M2.secret base~君がくれたもの~(カバー)
・アドリブ!? i☆Ris劇場
・i☆Ris 3年間振り返り映像(サプライズ)
・スペシャルライブコーナー
M3.Color
・エンディング
●リリース情報
i☆Ris10thシングル
TVアニメ『プリパラ』2ndシーズン第3クールOPテーマ
「ブライトファンタジー」
10月28日発売
【TYPE-A(CD+DVD)】
品番:EYCA-10617/B
価格:¥1,944(税込)
<CD>
1.ブライトファンタジー
2.NEXTAGE
3.ブライトファンタジー (inst.)
4.NEXTAGE (inst.)
<DVD>
1.ブライトファンタジー -Music Video-
2.ブライトファンタジー -Off Shot Movie-
【TYPE-B(CD)】
品番:EYCA-10618
価格:¥1,296(税込)
<CD>
1.ブライトファンタジー
2.NEXTAGE
3.ハチャメチャ×ストライク
4.ブライトファンタジー (inst.)
5.NEXTAGE (inst.)
6.ハチャメチャ×ストライク (inst.)
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