INTERVIEW
2015.04.29
2015年4月より放送開始したアニメ『シドニアの騎士 第九惑星戦役』のオープニングを飾るのはangelaのニューシングル「騎士行進曲」だ。本楽曲は前シリーズ主題歌「シドニア」の遺伝子を引き継ぎつつも、さらに一段進んだangelaワールドが展開されている。チャレンジ精神あふれるこの楽曲が生まれた経緯とは? angelaのふたりに話を聞くと、そこには古き良きアニソンへの憧れがあったという――。
■イメージは高校野球の応援歌
――昨年に引き続き『シドニアの騎士』の主題歌を担当されますが、前作「シドニア」は多くのファンから支持を集めました。振り返っていかがですか?
KATSU 「シドニア」は予想以上に反響があって、良い意味でひとり歩きしてくれた曲でしたね。ライブツアーで演奏したときもメチャクチャ盛り上がって、「ひょっとするとangelaの代表曲になるんじゃないの……?」と思いはじめたタイミングで、アニメーション神戸主題歌賞もいただいて。そのときみんなが支持してくれる曲なんだと、改めて実感しました。
――「騎士行進曲」はそんな続編の主題歌ということで、ファンからの期待も大きかったと思います。プレッシャーはありましたか?
atsuko そう思われるかもしれませんけど、続編制作は『蒼穹のファフナー』で慣れていて、そこそこ耐性はあるんです(笑)。もちろん続編には、前作の雰囲気を残しつつ新しいものにチャレンジしなければいけないという難しさがあります。でも今回、オファーを頂いてから提出するまでの時間がものすごく短くて、「あー大変だどうしよう……」と悩む暇さえなかったんです。なので「これやりたい! あれやりたい!」とやりたい要素を一気に詰め込んで、瞬発力でつくりあげた感じですね。
――前作「シドニア」に引き続き「行進曲」をモチーフとした楽曲となっています。再び行進曲に挑まれたのはなぜでしょうか?
atsuko やっぱり憧れのアニソンみたいなものがあって、たとえば「宇宙戦艦ヤマト」がかかるとみんなアガるし歌えるじゃないですか。そういうみんなで歌える曲をつくりたいという願望があったんです。ただ、古典的な行進曲テイストなアニソンをそのままやってしまうと今の時代に合わないので、『シドニアの騎士』のスペーシーなイメージを取り入れて、現代的なサウンドと融合させよう……そういうアイデアを次々と提案して、それをKATSUさんが具体的な形にしてくれました。
KATSU 前作「シドニア」では、行進曲が海外でどう受け取られるか若干心配だったんですよ。というのも、軍歌のテイストを取り入れているので、戦争を連想させてしまって拒絶反応があるんじゃないかと。でも実際に現地のライブで演奏したらまったくの杞憂でみんなメチャクチャ歌ってくれたんですよ。そういったこともあって今回は行進曲のテイストをより前面に押し出そうと思いました。それと、「シドニア」では“聴いてくれ”という意識が強かったんですけど「騎士行進曲」は違ったんです。これは“聴いてくれ”じゃない、“歌ってくれ”だと。
――歌ってくれ?
KATSU ええ。angelaは13年間アニメソングを歌わせてもらっていますけど、現在のアニソンシーンを見つめ直してみると、みんなで歌えるが少なくなっている気がしていて。
――言われてみるとたしかにそうですね。
KATSU 一方で、これはダメとかではないですけど、“アニソンしてない”人もすっごく多い。とくに今はアニソンは世界に進出しているので、ちゃんとアニソンしている人は必要なんじゃないかと。じゃあ「王道なアニソンって何?」って考えると、やっぱり「宇宙戦艦ヤマト」のような“歌えるアニソン”なんですよね。そこで、みんながひとつになれるアニソンって何だろう? って考えたときにふっと思いついたのが、高校野球の応援歌だったんです。あのときってみんなが一丸となって自分の高校を応援するじゃないですか。サウンド的には「これだ!」と思って。これは個人的な野望なんですけど、ぜひこの曲を高校野球の応援歌に使ってほしい。最後「シドニアの騎士」というの「○○校の騎士」みたいな替え歌にしてもらって(笑)。
――歌詞を見てみると、やまと言葉っぽい雰囲気でひとつひとつの言葉に力強さを感じます。
atsuko 歌詞は前作の「シドニア」と似たようなアプローチで、古めかしい日本語を意識して書きました。とくにAメロはより古風で固い歌詞なんですけど、それに対してサウンドは今っぽい。ギャップ萌えですね(笑)。サビはとにかく合唱してもらいたかったので、力強さがありつつ耳馴染みが良い言葉をチョイスしました。
――サビ終わりに「果敢に進む我等 シドニアの騎士」という歌詞があって、おいしいところに作品タイトルを持ってきています。このあたりオールド・スクールなアニソンだなと感じました。
atsuko そこもギャップ萌えですよね(笑)。ここにタイトルを入れるか、実はけっこう悩んだんです。入れたらアガるけど、あまりに直球過ぎるんじゃないか……と。前の主題歌では「knights of sidonia」と英訳は入れていたんですけど、まだちょっとオシャレ感があったと思うんですよね(笑)。最後はプロデューサーに託して「入れようか、入れないか悩んでます」と相談したら「入れていきましょう」と言われたので「よし、入れよう!」と(笑)。結果的にコッテコテの“ザ・アニソン”という感じですけど、それが逆に今のアニソンとしては新鮮だし、何よりも“作品を背負ってる感”が出て良かったですね。真面目につくってはいるんですけど、遊び心を感じてくれるとうれしいです。
――「ウチクダケ」「トキハナテ」など前作「シドニア」のフレーズが散りばめれていて、ファンには嬉しいポイントとなっています。
atsuko シリーズで主題歌を担当させてもらえる場合、前作の歌詞やリズムパターンを引用したりしてリンク感を出すことができる。それをファンの皆さんが気づいてニヤっとしてくれるので嬉しいですね。これがもしアーティストが変わってしまうと、そうした“お楽しみ”ができないので、また主題歌を担当させてもらって本当にありがたいです。
■楽曲をTVオンエア初解禁としたわけは?
――Aメロとサビで曲調がガラッと変わっていますが、歌唱にあたってどのようなことを意識されましたか?
atsuko Aメロはなるべく機械的に歌うのを意識しました。ただ、小節の頭はコーラスが重なっているんですけど、レコーディングではまだ歯抜け状態だったのでそこが難しかったですね。でも逆にサビでは、ライブやイベントでオーディエンスの皆さんと合唱している絵を想像しつつワーッと歌い上げました。どっちも普段はあまりやらないことなので面白かったです。「わたしって、こういうこともできんだ」と気づくこともできたので。あと、それぞれを見ると従来のangelaっぽくないんですけど、全体としてはangelaっぽい雰囲気になっています。なので不思議な曲ですね……自分でつくっておきながら(笑)。
KATSU そういえば、コーラスを収録するとき、コーラス隊が20人ぐらいいたんですけど、みんな腕を振りながら歌ってました(笑)。
――たしかにあのサビは腕を振りたくなります(笑)。
KATSU 人間のDNAに訴えかけるものがあるのか……べつに指示したわけでもなく本能的にやってて面白かったです(笑)。
――タイトルの「騎士行進曲」は、どのようにして決めたのでしょうか?
atsuko 前回「シドニア」とつけてしまったので、「どうしよう……あ、余ってる“騎士”を使おう!」って(笑)。
KATSU 次はもうその手は使えない(笑)。
atsuko でも「騎士」だけじゃ寂しいし「Knights of Sidonia」だと長い。それで曲調や字面のカッコ良さを考えて「騎士行進曲」としました。でも最初KATSUさんに提案したら「それだったらダジャレで“騎士回生行進曲”ってどうだ?」と言い出して(笑)。
KATSU 我ながらすっげー良いアイデアだと思ったんですけど、「長いし弱い! 絶対ヤダ」って却下されて(笑)。
――前作「シドニア」と同じく、本楽曲も『シドニアの騎士』の壮大な世界観が見事に表現されています。
atsuko 今回、この楽曲の発表については、ラジオで先に流したりせずにTVオンエアで初解禁としました。というのも、この曲の面白さは曲単体で聴いてもらうより、アニメのオープニング映像と合わあせて聴いてもらったほうが驚きがあるし、より“シドニア感”がでると思ったので。わたし、初めてオープニング観たとき予想以上にハマってて笑っちゃいました(笑)。
KATSU 前作の「シドニア」に関してはアニメとハマる自信があったんですけど、今回は実はすごく不安だったんです。でもフタを開けみたら「あ、ハマってる!」と。これはアニソンの素晴らしいところですけど、絵が加わったときに想像を超える化学変化があって思わず感動してしまいました。アニメーション制作のポリゴン・ピクチュアズさんには感謝ですね。
――『シドニアの騎士』はangelaの代表作の一つになったように思います。
KATSU 『シドニアの騎士』という作品を通じて、angelaの新たな一面を見せられた気がしています。でもそれは自分たちが“出した”というよりも、アニメをつくっていただいたポリゴンピクチュアズさんや声優さんの演技、それらに引き出してもらった感じですね。ありがたい限りで、今後も『シドニアの騎士』の楽曲はangelaが一生背負っていく覚悟です。
――5月20日にはニューアルバム『ONE WAY』が発売、その直後には海外・国内ツアーも控えています。今後もangelaの快進撃が続きそうですね。
atsuko 快進撃だといいなー(笑)。『シドニアの騎士』という作品に出会えたことでこういう世界観の曲をつくれたわけですけど、つくっただけで満足ではなくて、ライブでお客さんと一緒に曲を育てていく過程もまた楽しいんですよね。ニューアルバムは、ここ2年のベストアルバムみたいになっていますし、ツアーは、長くangelaを応援してくださっている方だけでなく、『シドニアの騎士』から入った人でも楽しめるライブにしたいです。楽しいトークや悪ノリもありつつ、最後は感動でシメられるライブにしたいと思いますので、ぜひお楽しみに。とりあえずわたしは、「騎士行進曲」を大人数で歌ってる絵が早くみたいです。もう想像すると楽しみでしょうがない(笑)。
KATSU 面白い絵になってるだろうね(笑)。2014年を振り返ると『K』『シドニアの騎士』『蒼穹のファフナー EXODUS』と代表作3つが一気にあってすごかったですね。本当に作品に恵まれています。それを僕たちが恩返しできるのって、やっぱりライブなんですよね。そういう感謝を込めつつ「騎士行進曲」をファンの皆さんと一緒に仕上げていきたいです。
Interview&Text By 沖本茂義
●リリース情報
TVアニメ『シドニアの騎士 第九惑星戦役』OPテーマ
「騎士行進曲」
4月29日発売
品番:KICM-3289
価格:¥1,200+税
*初回プレス分のみデジパック仕様
<CD収録内容>
1. 騎士行進曲(TVアニメ『シドニアの騎士 第九惑星戦役』OP主題歌)
2. 愛、ひと欠片(『劇場版 シドニアの騎士』主題歌)
3. 騎士行進曲 off vocal version
4. 愛、ひと欠片 off vocal version
angelaニューアルバム
ONE WAY
5月20日発売
【初回限定盤】
品番:KICS-93189
価格:¥3,426+税
封入特典:24P ブックレット/特製はちまき *クリアケース仕様
【通常盤】
品番:KICS-3189
価格:¥2,963+税
封入特典:24P ブックレット
<CD収録内容>
1. イグジスト(TVアニメ『蒼穹のファフナー EXODUS』OP主題歌)
2. Different colors(劇場版『K MISSING KINGS』主題歌)
3. シドニア(TVアニメ『シドニアの騎士』OP主題歌)
4. Sail away(劇場版『モーレツ宇宙海賊ABYSS OF HYPERSPACE-亜空の深淵』挿入歌セルフカバー)
5. キラキラ-go-round(劇場版『モーレツ宇宙海賊ABYSS OF HYPERSPACE-亜空の深淵』主題歌セルフカバー)
6. 春夏秋冬(ゲーム「学園K-Wonderful School Days-」EDテーマ)
7. This is LOVE(ゲーム「学園K-Wonderful School Days-」OPテーマ)
8. ANGEL(TVアニメ『COPPELION』OPテーマ)
9. バイバイオーライ(TVアニメ『COPPELION』最終回ED主題歌)
10. その時、蒼穹そらへ(TVアニメ『蒼穹のファフナー EXODUS』挿入歌)
11. 二十四節気恋唄(読み:にじゅうしせっきこいうた)
12. 騎士行進曲[angela × HEAVENS WiRE Remix]
●ライブ情報
angela Live Tour 2015「ONE WAY」in Hong Kong
6月7日(日)【香港】九龍湾国際展貿中心クーロンワン コクサイテンボウチュウシン G/F Music Zone@E-Max
angela Live Tour 2015「ONE WAY」 in Taipei
6月13日(土)【台北】花漾ハナHana展演空間テンエンクウカン
angela Live Tour 2015「ONE WAY」
7月11日(土)【福岡】DRUM Be-1
7月12日(日)【愛知】BOTTOM LINE
7月18日(土)【大阪】BIG CAT
7月25日(土)【東京】新木場STUDIO COAST
チケット料金:オールスタンディング 5,616 円(税込、ドリンク代別)
※香港及び台湾は別料金
●イベント情報
・Anime Festival Asia Thailand 2015 – AFATH2015
4月30日(木)~5月3日(日)【タイ】Bangkok International Trade and Exhibition Centre
※「I LOVE ANISONG コンサート」(5 月1 日・2 日)出演
出演者:angela、藍井エイル、FLOW、fripSide、Kalafina、DJ 和、May’n ※アルファベット順
・「シドニアの騎士 第九惑星戦役」音楽重力祭 ~LIVE OF SIDONIA~
5月21日(木)【川崎】CLUB CITTA’
出演:angela、カスタマイZ and more ※出演者は予告なく変更となる場合がございますので予めご了承下さい
内容:ライブ&トーク
チケット5月1日一般発売開始
前売券¥3,780(税込)/当日券(未定)
e+イープラスにて販売
・『蒼穹のファフナー EXODUS』スペシャルイベント-痛み-
5月24日(日)【横浜】パシフィコ横浜 国立大ホール
出演者:喜安浩平(皆城総士役)、石井真(真壁一騎役)、白石稔(近藤剣司役)、
島﨑信長(御門零央役)、小野賢章(鏑木彗役)、石川由依(水鏡美三香役)、
岡本信彦(ジョナサン・ミツヒロ・バートランド役)、angela、吉田尚記(MC)、
フェストゥムダンサーズ ※出演者は予告なく変更になる場合がございます。
チケット料金:全席指定¥6,966 (税込)
・KING SUPER LIVE 2015
6月20日(土)・21日(日)【埼玉】さいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)
出演アーティスト(両日共通):
angela/上坂すみれ/every♡ing!/奥井雅美/小倉唯/陰陽座/カスタマイZ/かなでももこ/喜多村英梨/小松未可子/佐藤聡美/高橋洋子/田村ゆかり/林原めぐみ/保志総一朗/堀江由衣/松澤由美/水樹奈々/宮野真守/森口博子/ゆいかおり/米倉千尋(全22アーティスト・50音順)
チケット:¥8,900(税込)
・Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-
8月28日(金)~30日(日)【埼玉】さいたまスーパーアリーナ
※angelaは29日に出演
チケット 6月28日一般発売開始
料金:全席指定 前売 ¥8,700(税込・各日)
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