REPORT
2015.03.06
続くは「Growing Going」。「タオル曲に!」との内田の意向で、サビの振付講座がスタートする。緊張で本気で振付を間違えてしまう姿は、この日ばかりのご愛嬌だ。曲が流れて走りだせば、もう場内のテンションUPは止まらない。客席にタオルが舞うこの光景は、きっと内田の見たかったものなのだろう。なぜなら、サビで自らもタオルを振りながら歌う彼女の表情は、何よりうれしさにあふれていたのだから。視覚的なパフォーマンスのみならず、疾走感あふれるこの曲で全開の歌声を聴かせてくれた彼女。この日この場所で、「Growing Going」はある意味『アップルミント』の裏リード曲となったと言っても過言ではない。そして、彼女は今度は「楽しかったのでみんなと回したい」と、ペンライトを手にしながら「Merry Go」を歌い出す。今度は歌声にファニーな要素をブレンド。しかもその塩梅を自らの意志で加減できるところが、“アーティスト・内田 彩”の魅力であることを体感できた2曲だった。ペンライトと一緒にミラーボールも回りだして、赤坂BLITZはひとときダンスフロアに変貌。歌詞通り「楽しいことしてたいんです!」と叫んだ通り、後奏ではぴょんぴょん跳ねて楽しそうにしている彼女の姿がステージ上にはあった。
内田がステージを去ると、赤坂BLITZは再びライブハウスの姿に戻る。しかしそこを埋め尽くすミントグリーンの光は、彼女が舞い戻るのを待ち、ひたすらに呼び続けた。その声に応えて内田が再登場。今度はライブTシャツ姿での登場だ。イヤモニを外して客席の声を聴いて改めて“ファンの声”を実感すると、「『Merry Go』が楽しすぎて、疲れるくらいにはしゃぎ過ぎちゃった(笑)」と思わずぽつり。それでも「次、ワンマン・ライブとかできたときにステージ上で大変だなと思って、鍛えたいと思います」と前向きにとらえていた。「楽しい夜をありがとうございます」と改めてファンに一礼すると、再び続けて「アルバム曲を引っさげてライブとかできたらいいよね?ぜひ今後も応援よろしくお願いします!」とメッセージを送る。
そうしてアンコールとして披露されたのは、アルバムのラストを飾る「ドーナツ」。トークで語っていた「アルバム全体が自分を表したようなもの」であるならば、その成分がもっとも強いのがこの曲なのではないだろうか。ステージ上で、ときにいたずらっぽく、しかし譲らない芯の強さも持ちあわせて歌う彼女は、そんな“自分”を観客全体に向けて届け続けていた。
そしてそんな感覚は、曲終わりの彼女のひと言でさらに確信へと変わる。
「最後の曲って言ったけど、ウソだよーだ♪」
という。
「この曲で次に繋げたいと思います!」との言葉から再び聴こえてきたのは、「Baby, Are you ready to go?」の言葉。そう、この日二度目の「アップルミント」だ。だが一度目とは意味合いはまったく変わっている。なぜなら最初は「このライブの始まり」にあて、今度は「“内田 彩”のこれからの始まり」にあてたものなのだから。客席も、この曲が彼女自身のアンセムとなることを強く予感させるほどの高まりを見せていた。
最後に内田から、このイベントを締めくくる挨拶。
「本当に、まさかソロをやるっていうときは、こんな日が来るとは思ってませんでした。みんなが笑顔になれるソロ・プロジェクトになって、本当によかったなって素直に思えています。次もまたみんなで楽しく過ごせるイベントができたらな、と思っています。本日は本当にありがとうございました!」
この日詰めかけたファンを、見事に笑顔にしていった内田 彩。これからどれほどまでの人々に、笑顔とちょっぴりの感動の涙を届けてくれるのか。彼女とファンが一緒に成長していけば、きっとどこまででも行ける。そう自然と思わせるほどの熱気が、ここにはあった。
Text by 須永兼次
“内田彩のアップルナイト”
2014.12.09@赤坂BLITZ
【ライブパート セットリスト】
1.アップルミント
2.Breezin’
3.Sweet Rain
4.ONE WAY
5.Growing Going
<Encore>
EN1.ドーナツ
EN2.アップルミント
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