REPORT
2015.03.06
12月9日、赤坂BLITZにて声優・内田 彩が企画したイベント“内田彩のアップルナイト”が開催。トークとライブの二部構成によるボリューム満点のイベントを飾ったのは、会場を包む笑顔だった。
前半はうっちーによる“これまで”の振り返り。
1Fはオールスタンディング、さらに好評につき2Fも急遽開放した今回のイベント。フロアは満員、2Fも満席で立ち見すら出るほどの大盛況っぷりだ。ステージの後方には、なんとバンドセットが据えられている。わお、まさかここで思いっきりやっちゃうのか――なんて期待高まるなか、照明が落ち、後方のプロジェクターには森の映像が映し出される。内田の朗読でこれが「白雪姫」のオマージュの世界観であること、そしてそのヒロインが「少々内気な性格のため“うっちー”と呼ばれていました」という子であることも説明される。
そんなナレーションを受け、プリンセス姿のうっちーが登場。この衣装は『アップルミント』の歌詞ブックレットの裏表紙にて着用していたものということもあって、登場と同時に会場が一気に沸く。「小人が帰ってくるまで薪を拾う」という体で登場した彼女を見守る観客は、この時点で「森のみんな」であることが判明。設けられた女子ゾーンを観て「かわいいウサギさんたちがいっぱい!」と頬を緩ませる反面、会場の大半を占める男性陣をオチに使い、会場全体を笑いに包む場面もたびたび見られた。ちなみにそんなウサギさんの中には香港から来場した方もおり、それにもまた驚き喜ぶうっちーの姿があった。
そうしてストーリー通りに薪を拾っていると、ステージの反対側からは『魔法笑女マジカル☆うっちー』で共演しているパンダのマスコット・ポノンが魔女役として登場。リンゴを勧めるポノンに「日本の森にパンダはいないはずなんだけどなぁ」とカウンターを放つうっちーに、またも会場からは笑いが。
そんな設定を下敷きにしつつ、数々のオフショットを見ながらこれまでの歩みを振り返ることに。まずは初披露となった“@JAM 2014”の写真をバックに、デビュー決定から初披露に至るまでの裏話やそのステージ上で「ミントグリーンのペンライトに後押ししてもらった」との想いを明かすと、続けて今日に至るまでの歩みを時系列で振り返っていく。MV撮影のカットを背に、撮影時に監督から提示された「白雪姫の物語をテーマにして、そこに沿ったメッセージを伝えたい」というコンセプトを語ったかと思えば、自らが表紙を飾った雑誌に寄り添って寝そべる実家の愛猫の姿に目を細めるひと幕も。そして彼女の中で大きな出来事だったのがリリース当日のサンシャインシティ噴水広場でのイベント。「ファンでない、何も知らない方たちに観ていただいて、どう思われるかが気になってた。ソロデビューだから声優としてでもないし、『アーティストです』みたいに出ていくのも違うし。でもすごく緊張したイベントでした」と振り返っていた。
なんと贅沢、全曲解説!
その後、話題は『アップルミント』収録の楽曲へと移り変わる。「ちゃちゃっと解説します!」とは言いながらも、語り出したらどの曲も止まらない。その姿こそが彼女のこのアルバムへの想いを投影していた。曲タイトルがプロジェクターに映し出されるたびに客席から上がる歓声の、曲ごとのリアクションの違いも「曲ごとに反応が違って面白い!」と喜ぶうっちー。それぞれ1曲ずつ詳細に振り返る彼女ではあったが、最後に「アルバム全体として調和が取れてるんですけど、最後の曲『ドーナツ』で『まぁ、どーでもいいけどね』ってひっくり返すのが私らしい」と、この先長く歌っていくであろうデビュー・アルバムを総括していた。
……と、ここで本題(?)。リンゴを食べさせたいポノンは勝負に勝ったら食べてほしいと要求。アルバム収録曲にちなんだ対決を行うことに。1戦目「Sweet Rain」にちなんで「傘回し対決」ではともに傘にボールが乗らず、「傘バランス対決」に変更。結果、「手の甲がツルツルやねん(本人談)」なポノンが瞬殺だったのに対し、見事にバランスを取った内田の勝利。続く2戦目は「キックとパンチどっちがいい?」にちなんで「キックVSパンチ対決」。腕か足に万歩計をつけて、その歩数カウントで競うというもので、腕を選択した内田が有利かと思いきや、なんとポノンがコサックダンスのように足を痙攣させながら跳ぶ。その姿で「こわーい!」と内田をビビらせながらも、87回を記録したポノン。一方内田は「私?……86,000回」と尋常でない歩数を申告(※本当は48回で、デジタルカウントをひっくり返すとそう見える)。2連勝(?)で、しょんぼり帰るポノンなのであった。
と、ここで残されたカゴの中のリンゴに興味を持つうっちー。そのなかで見つけた青りんごに「私、実は青りんご大好きなんだよねー♪」と思わずひとかじり。と同時に暗転し「アップルミント」のMVが流れれば、いよいよ後半・ライブパートの幕開けである。
笑顔の準備、できてますか?
アルバムジャケットと同じ装いで登場した内田は、「Baby, Are you ready to go?」と問いかける。アルバムと同じく「アップルミント」からのスタートだ。その問いかけに、客席はミントグリーンに染まることで準備オッケー・オールグリーンであることを伝え、全力でのライブがいよいよスタートする。間奏で、改めて“内田 彩”として「アップルナイトへようこそー!」と挨拶し、ハンドマイクに持ち替えて続けて「Breezin’」を披露。激しいダンスこそないものの、観客隅々までへのパフォーマンスや意識の飛ばし方はさすがのもの。モニタースピーカーに腰掛けるおてんばさも見せる。続く「Sweet Rain」では会場のペンライトの色はミントグリーンから雨色・ブルーに変わり、楽曲の空気を作る。そんな光景を目にしたこともあってか、変わらずテンポの速い曲ながらも歌声は少々しっとりめに。
ここまではほかのイベントで歌唱済みの楽曲だったが、生バンドでは初披露となった3曲。この形で披露できたことを喜ぶと、客席からも大歓声が上がる。しかし今宵のプレゼントは、ファンが喜ぶにはまだまだ序の口。今度は待望の初生披露楽曲が届けられる。
切なさを超えた、引き裂かれんばかりの辛い想いを乗せた「ONE WAY」には、その感情の波の激しさと裏腹に歌声にブレがなく、「本当にこれが初披露?」と不思議に思えてしまうくらい。デビューしたてで、生でこれだけのパフォーマンスが見せられるならば、今後内田 彩というアーティストはどれほどまで成長していくのだろうか。何より、曲締めの声の震わせ方に、期待がただただ高まるばかりだった。
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