INTERVIEW
2015.01.14
女子高生の桃園奈々生が突然、土地神様になり個性豊かな神使たちとともに織りなすハートフルコメディ『神様はじめました』。ファン待望の第2期が1月より放送中だ。前作に引き続き主題歌を務めるハナエに楽曲制作の様子やアーティストとしての表現についてお話を伺った。
――まずハナエさんにとってアニメ『神様はじめました』1期に関わったことはどんな経験でしたか?
ハナエ 新しい扉が開けたという感じですね。『攻殻機動隊』シリーズをはじめアニメがすごく好きなので、主題歌アーティストとして関わることができたり、作中では声優にも挑戦させてもらえたりとすごく貴重な経験だったと思います。『神様はじめました』で初めて私を知ってくれた方もたくさんいらしたりと、私にとって宝物みたいな作品になりました。
――そして1期を踏まえての2期の主題歌制作というのは、また違った難しさを感じられたのではないでしょうか?
ハナエ お話をいただいた時にはうれしいという思いと、「さて、どうしようか」という思いと両方でしたね。『神様はじめました』は、曲名もアニメと同じですし、世界観もパーフェクトに合致していたと自分では思うんです(笑)。なので、それを同じ延長線上で作っても前作を越えることはできないんじゃないかと思って、また新しい観点から予想の斜め上をいくような作品にしなきゃというプレッシャーもありました。
――2期のOP主題歌「神様の神様」の作詞・作曲をされる真部脩一さんとのやりとりはどのように?
ハナエ 私からお話するというよりもの大地丙太郎監督からイメージを伝えて真部さんが曲をお書きになるという手順ですね。今までは私が曲の世界に飛び込んでいくような感じだったんですけど、真部さんは「ファンタジーの世界を描きながらもハナエの芯の部分を出していけたらいいよね」とおっしゃってくださったので、私としても綺麗に作りつつも、自分の強さや弱さを出して、良い意味での”毒”を味わいとして出していきたいなとお話しました。
――楽曲や歌詞についてハナエさんはどんな印象を受けましたか?
ハナエ 「神様はじめました」の歌詞は「女の子はじめました」から始まって「神様はじめました」で終わるのですが、それはアニメで主人公の奈々生ちゃんが女子高生の状態から始まって神様になって終わるというのと同じ構成になっていたんです。そしてアニメの2期では奈々生ちゃんが最初から神様で、他の神よりも特別な神様になっていくというストーリーで、歌詞にも奈々生ちゃんの強さとか可愛らしさが表れているし、私自身の貪欲さも表れていて新しいなと思いました。
――貪欲さというのは?
ハナエ やっぱり生きている限りは貪欲に好きなものを好きって言いたいし、好きなものを突き詰めることでもっとたくさん好きなことが出てくるし、そういう好きへの貪欲さでいろいろな人と繋がっていきたいなと思うんです。歌詞の中にある「欲しいものがないなら それじゃ意味が無いじゃない」という部分なんて、真部さんに見抜かれているかのようでドキッとしました(笑)。
――歌う時のポイントはどんな部分にありましたか?
ハナエ この楽曲はコロコロ転がっていくような感じがするんです。それはBPMとかの数値で表すものではなく、体感的なものなんですけど。歌詞の内容的にも聴き馴染みよくするのと、転がる感じの両方をいいとこ取りしたくて自分の中でも試行錯誤しました。私は声質がふわっとしていて普通に歌っていても優しく聞こえるので、そこでちょっと惑わせたかったんです。そのヴェールに包まれて楽しんでいただいても結構ですし、めくってさらにさらに深みにハマっていただいても結構です(笑)。
――真部さんはレコーディング現場ではどんなディレクションをされるんですか?
ハナエ 最初は好きなように歌って、そこからだんだん味付けをするような感じなんですけど、けっこう無茶振りも多いんですよ。「神様っぽく」とか「この曲で人を苛つかせて」とか、「30歳のOLで」と言われたこともありました(笑)。具体的な指示もあるんですけど、そういうイメージで言われることがあって一生懸命妄想スキルを高めてレコーディングに臨んでいます(笑)。
――ジャケットの和装も非常にインパクトがあります。
ハナエ 「神様はじめました」のときは番傘を採り入れたのですが、今回は花魁をイメージしたんです。それもただの花魁ではなく、「誰にも買えない幻の花魁」みたいな設定を自分で考えて具現化させていきました。もともと和装が好きで、成人式の時に振り袖を着たしフェスでは浴衣も着たので今度は花魁だなと(笑)。花魁はグラビアの設定でもよく使われるので、ジャケットとして目を惹く以上のことを表現したいなと思った時にこうした設定というか妄想が沸き上がってきました(笑)。攻殻機動隊シリーズに絡めて言うと「イノセンス」のガイノイドのイメージもちょっとありますね。実は着物を脱いで襦袢だけになるとめっちゃ似ているんですよ。
――ED曲の「おとといおいで」も真部さんによる楽曲ですがこちらはいかがでしたか?
ハナエ これは寝る前に聴きたい楽曲だなと思いましたし、歌っていて自分の心情を重ねることが多かったです。寝る前に一日を思い返すときに、楽しかったと思える日も後悔する日もあります。「今日が昨日だったらいいのに」と思っても、今日は今日でしかない。それは諦めでもあるし希望でもあったりします。そんな思いをすごく素直に肯定してくれる優しい曲だなと思って、自分でもすごくお気に入りです。歌うときは主観的になりすぎず、聴いてくれた人の思いにリンクするように優しい気持ちで歌えたと思います。
――ハナエさんはご自身で歌詞を書かれることも多いですが、リスナーに想いを預けられるように歌えるのはどんなお気持ちからでしょうか?
ハナエ 今までたくさんリリースをしてきて、今回も良い曲を書いていただいたというプレッシャーはありつつも、絶対良い物ができるという自信がありましたし、ライブも数多く経験して自分の歌が目の前の人に届いているという実感を得たことも大きかったと思います。ずっと憧れだったアニメの世界にも関わるという経験もできましたし。そのひとつひとつが自信になって相手に向けて歌えるようになったと思います。2年前だったら今のように寄り添うように歌うことはできなかったんじゃないかなと思いますね。
――今後の活動についてどんなビジョンをお持ちでしょうか?
ハナエ 歌だけではなくライブでのスタイリングとか映像やビジュアルでの表現とか、音楽を中心としてすべての表現を通して、可愛くて綺麗だけど毒のあるものを作っていきたいなと思います。そういう自分の好きなものに対しての愛情を貫くことで聴いてくれる方の心の豊かさに繋がればと思います。
――”毒”を入れようと思うのは?
ハナエ 個人的な趣味趣向に入る部分でもあるのですが、可愛くて綺麗だけだと表面的なものになってしまって、一瞬はステキと思うかもしれないけどそれ以上にならず、流れていってしまうような感じがするんです。自分がステキと思うものをみんなに伝えるにはそこに引っかかりが欠かせないというか。それは音楽だけではなくメイクやファッションにおいてもひとつの芯の部分かなと思います。私がそういう世界を作ることによってどんどん愛が連鎖していくような活動をしていきたいなと思っています。
――最後に2015年の抱負をお聞かせください。
ハナエ 2014年は多くのライブを行なってスタッフやファンの方など人との関わりを通じて自分を見つめ直すことが多かったです。そこで大切に思ったのはやっぱり「愛」だなと。ちょっと重たく聞こえちゃうかもしれないですけど、自分が好きなことに対して絶対的な愛を貫いていきたいし、今年もリリースやライブを通じて目に見える形で愛を届けていけたらなと思います。
Intervew&Text By 日詰明嘉
●CDリリース情報
7thシングル「神様の神様 / おとといおいで」
2015年1月14日発売
[初回生産限定盤(CD+DVD)](アニメ描き下ろしジャケット仕様)
CD
1.神様の神様
2.おとといおいで
3.神様の神様(TVアニメ・オープニングVer.)
4.おとといおいで(TVアニメ・エンディングVer.)
DVD
「神様はじめました」「神様はじめました◎」スペシャル映像収録
・TVアニメ「神様はじめました」スペシャル映像(楽曲:「神様の神様」)
・TVアニメ「神様はじめました◎」ノンテロップ・エンディング映像(楽曲:「おとといおいで」)
[初回生産限定盤]封入特典
「神様はじめました◎」キャラクター・トレーディングカード
(全4種のうち1種をランダム封入)
●イベント情報
ミニライブ&握手会
2015年1月14日(水)開場18:30 / 開演19:00
アニメイト池袋本店
ミニライブ&サイン会
2015年1月16日(金)19:00開始
タワーレコード渋谷店
ミニライブ&2ショット撮影会
2015年1月17日(土)14:00開始
サンシャインシティアルパ B1F 噴水広場
ミニライブ&サイン会
2015年1月18日(日)18:30開始
タワーレコード難波店 5F イベントスペース
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