INTERVIEW
2014.12.12
架空のアニメーション制作会社“武蔵野アニメーション”を舞台に、アニメーションに関わる様々な人々の群像劇を描く話題作『SHIROBAKO』。
11月26日に発売された本作のEDテーマ「Animetic Love Letter」でボーカルを担当しているのが、新人制作進行宮森あおい(CV:木村珠莉)、新人アニメーター安原絵麻(CV:佳村はるか)、新人声優坂木しずか(CV:千菅春香)の3人だ。今回はそんな3人を演じる声優陣に楽曲について、そして『SHIROBAKO』の作品について聞いてみた。
木村珠莉さんは人生初レコーディング!
──皆さんが担当しているED「Animetic Love Letter」について伺っていきます。まず楽曲を聴いた時の印象は?
木村 『SHIROBAKO』という作品自体がバタバタした作品なのに、キラキラしてしっとりしていて、意外な曲調だなと思いました。歌っているキャラクターたちもかわいい歌を歌うタイプではないのに、できあがったものを聴くとしっくり来て、不思議だなと思いました。
佳村 まずEDを私たちが歌うと聴いた時にびっくりしました。制作進行と声優、アニメーターが一緒に歌うユニットなんてないじゃないですか(笑)。絵麻は歌いそうに無いですし、しかもオープニングをアニソンといえばこの人の石田燿子さんが担当しているので。楽曲は私はアニメキャラに恋してるイメージで歌ったんですが、そこにこめた気持ちもきっとそれぞれ違ったと思うので、素敵な曲に仕上がったと思います。アニメが好きだから、興味を持って『SHIROBAKO』を見てくれている人が多いと思うので、きっと共感してもらえると思います。
千菅 仮歌を聴いた時はキラキラしたかわいらしい感じで、でも『SHIROBAKO』の3人が歌を入れたら曲の印象がすごく変わったなと感じました。しずかに関して言えば、声優さんっぽい歌い方が求められてると思うんですが、まだしずかも声優として歌い慣れているわけではないんですよね。絵麻は歌自体歌うイメージがないし。それを反映したのかみんなの歌声や歌い方が生々しいというか、なんだかリアルだなと思いました。そのあたりで曲の印象が変わったのかもしれません。
──桃井はるこさんならではの詞も聴きどころだと思います。
木村 一番はキラキラしてかわいらしい曲なのが、二番あたりから「ガラス越しのキッス」「16:9のフレームはいらない」「もはやそのために生きてる」とだんだんおやおやって感じになってくるのが楽しいと思いました。あとは詞にドーナツが出てきたのがすごく嬉しくて、パート割りの前にここは歌わせてくださいとお願いしました。
佳村 さっきアニメのキャラに恋する歌詞と言ったんですが、歌詞のひとつひとつを取ると普通の恋の歌なんですね。だからみんな共感するフレーズはどこかにあると思います。あとは音楽のキラキラとの相乗効果があって、レコーディングでは自然に恋する気持ちになってしまいました。どうでもいい話ですが、私は「ガラス越しのキッス」の時に「ガラス越しのちっすー(千菅)」を思い浮かべながら歌っていました(笑)。
千菅 全体的にアニメの曲であると同時に一直線のラブソングでもあると思います。アニメを好きな人って気持ちが真っ直ぐというか、誤魔化しがないというか。「俺はこのキャラが、アニメが好きなんだー!」という気持ちをオープンにさらけだせる楽しさが歌詞に出ていると思います。
木村 Twitterで頂いた『SHIROBAKO』の感想の中に一週間が待ち遠しくてたまらないというのがあって、本当に歌詞とリンクしてるなと思いました。きっと一週間「今日は『SHIROBAKO』だ…!」と思いながら過ごしてくださってるんだと思うと、そのあたりの心情を詞にする桃井さんはすごいと思いました。
佳村 二次元にばーっと行くばかりでなく、恋愛の歌でもあり、それをきれいにかわいくまとめてるのが素晴らしいと思いました。
──収録はいかがでしたか?
木村 3人別々の日に収録して私がトップバッターだったんですが、実は人生初レコーディングだったんです。『SHIROBAKO』ではいろんな初めてを経験させて頂いてます。私は宮森さんを演じる時、声を作ったり自分にない気持ちを引っ張ってくる必要がなくて、すごく自然に演じられているんですね。レコーディングでも自分と宮森さんがすごく近くにいたので、初めてのレコーディングなのに自然というか、ニュートラルな気持ちで歌えたのでありがたかったなと思います。出来上がった音源に3人の声が入って、色々なアレンジが加わると、別の曲のように仕上がっていて新鮮でした。
佳村 絵麻は普段はおとなしく話す子なので、歌うならどうなんだろうと思いました。私の場合は普段の自分の歌い方と絵麻の歌い方がだいぶ違うので、絵麻はどんな気持ちなのかをまず考えました。「好き!」って言うにしても、絵麻はきっと「好き…」だと思うんです。そんな絵麻らしいニュアンスを入れたいなと思っていたんですが、こんな表現をしたいのに自分の技量が足りなくてできない、くやしい! とかもありました。私的には失敗しながらもいいものができたらいいなと思って休憩返上で頑張ったんですが、実は一箇所確実に失敗したテイクが使われてるんです。自分ではそこを聴いて飛び上がったんですけど、珠莉ちゃんはそこがいいって言ってくれて。
木村 いわゆる最後の落ちサビのところです。
佳村 全然わざとじゃない掠れ方をしてしまっていて。
──え! あそこはすごく絵麻らしさが出ていて、あとでどんな心情を込めたか聞こうと思っていたところでした。
木村 ですよね! 萌えますよね! かわいいですよね!
佳村 私自身はなんでこのテイクって後ずさりました(笑)。でも絵麻らしくて良いと言ってくださる方もいたので、失敗も成功のもとといいますか。化学反応というか、自分がこうだと決めたやり方が駄目で、失敗したと思ったらいいと言って頂くこともあるので。たくさん回数を録らせて頂くレコーティングで、私はすごく助かりました。
──千菅さんの歌収録はいかがでしたか?
千菅 しずかちゃんがどうやって歌収録に臨むか考えたら、音程とか家で練習できることはものすごく練習してくると思ったんです。だから合唱部みたいな歌い方なのかなと思って、最初はきちっと音を取って遊びがない感じの歌い方にしたんです。でもそしたらやりすぎてしまったみたいで、もう少しキラキラした感じでと言われました。で、ですよねって。でもそうやって、キャラクターを意識しながら歌を作っていくのはすごく楽しかったです。それから私は珠莉ちゃんの歌を聴きながらの収録だったので、本当に「おいちゃん」らしさが等身大で入ってるなぁ…と思って、私も試行錯誤しながら歌いました。キャラクターと向き合う時間として貴重だったし、面白かったです。
──どこかでライブで歌う機会はあるんでしょうか。
木村 もしあったら振り付けを覚えます! あの、エンディングの映像でミムジーとロロ(人形)が踊っているやつを! 歌よりそこを頑張りたいですね(笑)。
佳村 絵麻の声、ライブでちゃんと通るのかな?
木村 めいっぱい音量上げてもらわないとね(笑)。
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