REPORT
2014.05.26
“ミルキィホームズライブ~冒険☆ミルキィロード!!&ブシロード7周年記念ライブin横浜アリーナ”が5月24日、横浜アリーナで開催された。
同ライブは二部構成で、第一部は豪華アーティスト陣が登場した「ブシロード7周年記念ライブ」であったのは既報の通り。今回は第2部として行われ、ミルキィホームズシスターズ、南條愛乃、明坂聡美が登場した「ミルキィホームズライブ~冒険☆ミルキィロード!!」をレポートする。
ミルキィ初の横浜アリーナライブは、ライブ全体で描く航海の物語!
アニメOP前のナレーションバックに流れるおなじみのイントロからの「正解はひとつ!じゃない!!」でライブはスタート。登場したミルキィチームの4人は、これから冒険に出かけるような活動的な新衣装で登場。4人のイメージカラーはスカートとブーツに差し色として入っている。いつも見慣れた四色の探偵服が安定した存在とステージングの象徴だとすれば、新衣装に込められているのは変化と冒険だろうか。
今回のライブではミルキィホームズオリジナルメンバーの三森すずこ、徳井青空、橘田いずみ、佐々木未来と、『ふたりはミルキィホームズ』から加わった妹分・ミルキィホームズフェザーズの愛美、伊藤彩沙のふたりが「ミルキィホームズシスターズ」として、横アリのステージで共演することが注目された。ファーストコンタクトをどう見せるか構えていたが、シスターズのステージは2曲目の「We are the Miracle Holmes♪」でさらりと実現した。シスターズの「We are the Miracle Holmes♪」は、抜群にノリがいい自己紹介ソング。ふたりずつ背中合わせになって踊ったり、“ずきゅんずきゅん!”のフレーズに合わせて順番にポーズを取ったり。6人がイメージを揃えた新衣装なこともあり、まるで一緒にいるのが当たり前のような一体感を醸しだしている。まずはこの6人で一緒に作るライブです、という挨拶代わりだ。
そして『ミルキィホームズ』のライブでメンバーたちが大事にしてきたことといえば、ただ歌って踊るだけではない、ミルキィならではの楽しさがあるライブだ。お正月のライブでは餅をついたり、大太鼓を叩いたり。武道館ライブでは「日本武道館」そのものを物語に取り込んだ寸劇を見せた。常に新しくて楽しい表現を自分たち自身で考えてきた彼女たちだが、今回の横アリライブではもうひとつ上のステージに挑戦した。それは、ライブそのものをひとつのつながりがある物語、ショーとして見せること。
描かれたのはミルキィホームズのホームである偵都ヨコハマの港から出港する船「横浜アリーナ号」の物語。予告状を送ってきた怪盗アルセーヌを追って、ミルキィホームズの4人は七つの海を巡る。その先で不敵に待ち受けるのは、もちろん明坂演じる怪盗アルセーヌだ。南條演じる小衣がミルキィたち4人を高速艇で追いかけ、その船には実はフェザーズが隠れていて……と物語は展開する。ミルキィの4人がアルセーヌの幻惑のトイズに苦戦しているところにフェザーズが登場。力を合わせてアルセーヌに立ち向かう……というストーリーだ。曲間でキャラクターとしての語りとともにスクリーンに映像が映し出され、次の楽曲に繋がっていく流れはミュージカル的でもある。
物語のベースになっているのは、もちろん「冒険☆ミルキィロード!!」の楽曲の世界だ。物語のオープニングがわりに披露された同曲は、腕の振りを大きく使ったコミカルだが激しく楽しい振り。七つの海を巡る期待感とわくわくがいっぱいに詰め込まれたステージングだ。印象的だったのは、4人のぴったりと揃った動き。ミルキィチームを結成した頃、ダンス面では三森の経験値が突出していたが、徳井や、途中からチームに加わった佐々木たちが続けた努力で、全体のバランスがずっとよくなったことが新衣装と新曲を歌うことでよくわかる。いつか橘田が「ミルキィはダンスでもほかのユニットに負けません!」と話していたことを思い出した。
最初はお留守番のフェザーズ組だが、ステージではまさかの「泣き虫TREASURES」カバーで登場。元々はミルキィが『ヴァンガード』EDで歌った楽曲だが、4人→2人で歌うことで、振付のアレンジがかなり変わっている。左右の2人のシンメトリーと、キレのある動きはミルキィチームとはまた違う表現。2人ともアイドルが大好きで、デュオとしての完成度を追求するフェザーズらしさが、カバー曲で感じられるのも面白い。
ソロコーナーではミルキィチームの4人の歌で旅の行き先が語られたのだが、シャロ=三森が訪れたのはインド。オリエンタルなお城が見える景色は、三森が好きなエスニック料理からの連想だろうか。「アコガレmake your dream」のステージングはふんわりやわらかく、まさにシャロのイメージそのもの。同日のブシロードライブで三森自身が表現するかわいさを込めたステージを見ているだけに、彼女の表現の多彩さがよくわかる。
ネロ=徳井の行き先はメキシコ。サボテンが並ぶ荒涼とした砂漠だが、どこか脳天気に見えるのはキャラクター故か。「SU☆PA☆PAスター」では徳井がマラカスを振り振り、「ひゃっふーい!」と楽しさを歌声と動きにいっぱいにつめこんだステージを見せた。
行き先が少々怪しくなってくるのがエリー=佐々木未来。その行き先は……「宇宙」。緑のレーザー光線を背中に背負って花道を行きながらの「I DO MY BEST!!」は神々しいまでのきらびやかさ。佐々木はソロの先頭を切ったのだが、4年前のブシロードライブではまったくの素人としてオーディションに臨んだ彼女が、今ひとりで横浜アリーナ全体の視線を引きつけるパフォーマンスを見せているのは、ミルキィの成長の足跡そのものだ。
そしてコーデリア=橘田がたどり着いたのは…「秩父」!海すらねぇ!だが「乙女▽危機一髪」で時にコブシを利かせながら描かれる世界は、確かにどこか……秩父?キャラクターを演じることでだんだん本人とイメージが重なっていくほかの3人と較べても、橘田とコーデリアの関係性はどこか不思議だ。橘田の百合好きは言うに及ばず、彼女が自分を生き生きと開放するほど、コーデリアもノリノリで光を放つように見える。印象的だったのは、橘田と徳井、愛美が一緒にゴンドラに乗ったときのこと。激しい動きのゴンドラで、はしゃぎすぎた橘田と、愛美が大きくバランスを崩した。その時橘田がとっさに愛美の手首をぱっとつかんで支えたのだ。イケメン!その後アリーナを周回するときも、いちばんスタンドに近づくポイントで愛美がPAブースがあるアリーナ側に意識を向けていると、“とんとん”と背中を無言で押して三人で近くのスタンドにアピールするよう促したり。小さな気遣いが端々に見えて、妹たちと一緒にステージに立つことでまた違う一面が感じられた。
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