INTERVIEW
2014.03.26
リスアニ!本誌でお馴染の”マカロン女子会スペシャルトーク in リスアニ!WEB”はこちら!(音声をお楽しみください!)
Annabel×蓮尾理之スペシャル対談はこちら!
2009年にTVアニメ『CANAAN』のEDテーマ「M yheaven」でソロ・デビューを果たして以降、TVアニメ『RDG-レッドデータガール-』OPテーマ「スモルワールドロップ」やTVアニメ『ローゼンメイデン』EDテーマ「Alternative」など数々のアニメ作品に参加。そして、bermei.inazawaとのユニットanNina、やなぎなぎとのユニットbinariaなど、幅広い活動を続けてきたAnnabelが、ソロとして2枚目となるアルバム『TALK』をリリースした。さまざまな作家たちとのコラボレーションによって、彼女のあらたな魅力が存分に引き出された力作だ。今回タッグを組んだ作家陣から蓮尾理之を迎え、制作秘話とアルバムの聴きどころを聞いた。
―そもそもおふたりの出会いは?
Annabel 私が同人音楽と言われる自主制作の音楽を作っているなかで、何か新しいものを作りたいなと人を探していたんですけど、たまたま会議をしているときに事務所のスタッフが通りかかって「蓮尾くん、スケジュール空いたよ!」ってパッと言っていったんですよ。「蓮尾くんってもしかして…School food punishmentの蓮尾さん!?」って尋ねたら、そうだよって返ってきて。ものすごくファンだったので「蓮尾さんがいいです!」って即決でお願いすることになって。
蓮尾理之 夏のコミケのときですよね。
Annabel それが初めてでしたね。
蓮尾 あのときはそんなに仕事もしていなかったので、すごくうれしくて。最初はAnnabelさんのことを知らなかったんですよ。こういう人だって音源を聴かせていただいたんですけど、一気に聴いて「ヤバい!」って思ったんです。素敵な声でしたし、楽曲のクオリティも高かったので、気合入れなきゃヤバいなって思いましたね。今回は「アルバムの1曲目をお願いします」って言われて、アルバムの全体像をイメージできるような、アルバムの導入になるような曲で、って。
Annabel あのときは、ギリギリ進行でご迷惑をおかけしました(笑)。その制作のあとに、もっとしっかり歌モノっぽい曲をやりたいなってことで、次のシングルの表題曲(2013年10月27発売「roof loop hopper」)をお願いしました。自分でもすごく相性がいいなと思えたので、アルバムでもご一緒したいできないかな、とオファーさせていただきました。
――アルバムのリード曲というと、やはりその作品の顔になります。今回はどんなAnnabelを出そうとされたんでしょうか?
蓮尾 そうですね。今回の「混線と対話」は、もともと「複雑な曲をお願いします」っていうオーダーだったんです。ぱっと聴いてフッと入ってくるんですけど、実はすごく複雑なことをやっていたり、逆にすごく複雑に聴こえるけれど中身の音符それぞれは実は単純な構成だ、みたいなものを意識して作ってほしいって言われたんです。1番と2番は決して同じ展開ではないようなものを考えて。僕自身も今まで作ってる曲とは違うものをやりたかったので、勢いは出しつつちょっとテンポは落として、でも早く聴こえるようなものってどうなのかな?ってことでリズムから作り始めたのがこの曲だったんです。作っていて、面白かったですね。
Annabel 注文は……多かったですよね(笑)。私とプロデューサー両方から同じ意見で出したオーダーではあったんですけど、“蓮尾さんの持っているなんだかわからないウネウネとした疾走感”を出していただきたいというのがありました。
蓮尾 そこらへんは僕自身はあまり考えないで作っても、そのウネウネっていうのは出てきちゃうので……(苦笑)。ただ表題曲っていうのは意識に強くあって。なんとかリフの中でもキャッチーさが出るように。だからしっかり、複雑ながら流れのわかる曲にしようと作りました。
――Annabelサイドから「混線」と「対話」というテーマが届いていたと思いますが、そこにはどんな印象が?
蓮尾 タイトルを聞いて「プログレですか?」って聞きましたね(笑)。「時間と言葉」(YESのアルバム)とか 「太陽と戦慄」(KING CRIMSONのアルバム)みたいな感じかな、と。でも僕の曲はノイズを入れたり、変拍子だったりもするので、ハマる言葉もあると思うんです。そのハマりやすい言葉にきっちり繋がったなって感じましたし、MVを観ていても思いましたね。
――レコーディングは立ち会われたんですか?
蓮尾 はい。リズム録りと、その後に僕の悲鳴みたいな音(ノイズ)を録っていくっていうのもあったので。
Annabel そこが見たかったのに、ちょうど移動しなきゃいけなくて。“悲鳴録り”……見たかったんですよー。
蓮尾 悲鳴録り(笑)。凄まじいリズム録りの後に、自分の音をひたすら重ねていくって作業だったので、よかったです。でもそんな音もちりばめて面白い曲になったと思います。
――でもその曲は、これまで1stアルバムを聴き続けてきたリスナーにとっては、すごく斬新なAnnabelだし、新鮮さを感じる、パンチのある1曲になったと感じます。
蓮尾 それはちょっと自分でも、ちゃんとした音楽を作らないとってことで、ハードルが高かったですね。これまでの曲も今回収録する別の曲も作り込みがすごくて、しかもクオリティが高いので、まじめに一生懸命に変なことをしようって思って作りましたね。
――蓮尾さんはもう1曲「未完成な星の住人」もプロデュースされていますが、こちらの曲はどんなふうなイメージで作られたんでしょうか?
蓮尾 これはもともとのリクエストで「突き抜けるような明るさを持った曲」というのがあったんです。
Annabel 曲的にも「混線と対話」の真逆を行くような曲を、ってことだったんですけど、曲の並びとしてアタマから2曲目とうしろから2曲目というシンメトリーみたいな位置に入ってて、意識して作ったわけではなかったんですけど、気がついたときは驚きました。アルバムの中でも印象的な場所に入りましたね。ライブの中で、もうひと盛り上がり出来るような曲をってことでお願いしたんですよね。
蓮尾 そうでしたね。お客さんも一緒に盛り上がれるような曲っていうのもいくつかあったテーマの中にあって。そういうテーマで作り始めたんです。「打ち込みの四つ打ちで」っていうのもオーダーではあったので、そういったニュアンスで作りました。前にやってたのが、バンドなのもあって、いつもグシャーンとした曲をやっていたので、そのイメージを覆すくらいのポップな曲を作ってやろうっていう意識はありましたね。
――Annabelをご自身の楽曲で動かすときはどんなことを意識しますか?
蓮尾 こういう歌詞で歌ってほしいなぁってイメージをしていたのはあったんですけど、本当にちょうどそういう歌詞があがってきて、歌い方も好きで。歌詞は、これ、本当に気に入ってるんです。
Annabel この歌詞なんですけど、実はこの曲を収録した日には本当は別の曲を収録する予定だったんですよ。なのに、その曲の歌詞ができなくて、何時間粘ってもできなくて、気分転換にまだ歌詞の出来ていなかった蓮尾さんの曲に取りかかったら、3時間くらいですっとできてしまって。急遽、収録日を変えたので、蓮尾さんが立ち会えなかったんです(笑)。
蓮尾 そうそう。翌日に「実は昨日、歌を録り終わりました」って連絡が来て「えっ!?」って。
Annabel ドキっとしますよね(苦笑)
蓮尾 しました、しました。オレになにか落ち度があったのかな、見放されちゃったかなって思いながら震えましたね(笑)。でもそんな苦悩からの解放というか、3時間でできたっていうのがあるからか、勢いがあるなって思って、すごく好きなんですよね。「混線と対話」は焦らされている感じや選択を迫られる感じが出ているんですけど、「未完成な星の住人」もハマってるなって思いますね。
Annabel そのときの心境がそのまま詞に出ていますね、完全に。このときじゃないと書けない歌詞でした。
蓮尾 それが良かったですね。歌のデータを聴いたときに「ありがとうございます」って思ったくらいでした。
――そんな蓮尾さんが聴いた今回のアルバム『TALK』。そこから伝わるのはどんなAnnabelですか?
蓮尾 どの曲も作り込みがすごいので、Annabelさんのインテリジェンスが出ていますよね。元々あったんでしょうけど、それはすごく出てますよね。
Annabel インテリジェンスはうれしいですね。「文系男子にモテる」という裏テーマがあるので(笑)。
――ライブでの再現ということで、蓮尾さんも参加したライブが見たい!
Annabel もちろん蓮尾さんがいなきゃ!今度のインストア・ライブは蓮尾さんとハイスイノナサの照井さんのサポートでやらせていただくので、それも楽しみだったり。怒涛の勢いで作ったアルバムなので、ライブに向けてまた曲と向き合って、いろいろと考えたり感じたりするんだろうなって思いますね。
蓮尾 難しそうですよね。なかには「この曲、どうやってやるんだろう?」って曲もあったりしますよね、ライブで。どうなるんだろうって(笑)。
Annabel 蓮尾さんの曲も十分その部類だと思います(笑)。でも音もジャケットイメージも、すべてで生感を出して、生々しいAnnabelっていうものを出したので、そこも聴いていただきたいですし、そんなAnnabelを見せられるライブをしたいですね。
Interview&Text by えびさわなち
Annabelニュー・アルバム『TALK』
2014年3月26日発売
ランティス
【初回限定盤/CD+DVD】¥3,300+税
【通常盤/CD】¥3,000+税
[プロフィール]
Annabel
アナベル/アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれのシンガー、作詞家。 憂いを含んだ繊細で透明感のある歌声でアニメ・ゲーム音楽など数々の作品に参加。2007年、an NinaとしてTVアニメ『ひぐらしのなく頃に解』EDテーマ「対象a」でデビュー。2009年にはTVアニメ『CANAAN』のEDテーマ曲「M yheaven」でソロ・デビューを果たして以降、ソロ名義では7枚のメジャーシングルをリリース。bermei.inazawaとのユニットanNina、やなぎなぎとのユニットbinariaなど、ソロの枠を越えて現在でも精力的に作品を発表している。
蓮尾理之
ハスオマサユキ/元School Food Punishmentのキーボーディスト。現在は385、bonanzas、THE JETZEJOHNSONなどで活動中。4月19日にはTHE JETZEJOHNSONとして代官山UNITにてライブ、5月5日にはSEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERとして渋谷WWWにてライブ予定。
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