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REPORT

2014.02.24

末娘の里帰りに、5年ぶりの「おかえり!」“THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2014”二日目レポート

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初日と二日目のセットリストは、共通の部分がたくさんある。それでも、メンバーや構成が違えば、それは違って聞こえる曲になる。『アイドルマスター ミリオンライブ!』から参加したのは、麻倉もも、田所あずさ、山崎はるか、渡部優衣、木戸衣吹、Machicoの6名。初日の「Sentimental Venus」では釘宮理恵がミリオンの後輩たち4人を率いる楽しい構成だったが、ステージの釘宮の所作や佇まいの全てがあまりにも可憐で、視線を全て彼女に持って行かれてしまう感じがあった。それが二日目、釘宮、麻倉もも、木戸衣吹という組み合わせでは人数が減ったこともあり、麻倉のもちょもちょしたかわいい雰囲気や、木戸の弾けるような若さが個性として立って、とてもバランスの良い3人ユニットに感じられた。

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「Blue Symphony」で、『ミリオンライブ!』好きなら誰もが認める実力派である田所あずさと組んだMachicoの歌声を聞いて、この人はキャラクター声のままで、こんなにも歌えるもうひとりの実力派だったのか…と驚かされた。「オリジナル声になって」ではいつも伸びやかに表現豊かにステージに立つ木戸が、今日はなんだか緊張したような、なにかつらそうな表情。すぐに涙をこらえていることに気がついたが、結局最後の最後、声を震わせながら「やっぱり、歌が…大好き」まで、きっちりと歌いきった。それは本当に感動的ではあったが、「彼女がステージに作る矢吹可奈の世界は、本当はもっともっとすごいよ!」と言って回りたくなる。

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山崎はるかの歌声は、本当に安定している。だが会場が大きくなったこの日は、間奏で客席を煽るテンションはどこまでも上がっていき、そのギャップが面白い。山崎自身の華やかさもあり、やはりユニットを組むと山崎が顔になりがちな気がするが、今回の「PRETTY DREAMER」の相方は渡部優衣だ。渡部の魅力は、とてもわかりやすい。声がかわいくて、関西弁がかわいくて、元気で、ツッコミもできる。『ミリオンライブ!』ではとても貴重なツッコミだ。気のせいか後ろを蹴り上げるフリも俊敏だ。だが、そんな渡部のハイトーンなファニーボイスと組むと、山崎の歌声の芯の強さが際立って感じられた。やっぱり、個性のせめぎあいを楽しむならデュオか! と新たな扉を開かれた思いだった。

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そして二日目に大挙して乗り込んできたのが、福原綾香、松嵜麗、佳村はるか、大橋彩香、原紗友里、青木瑠璃子、五十嵐裕美、山本希望、高森奈津美、黒沢ともよ、三宅麻理恵の『アイドルマスター シンデレラガールズ』軍団だ。それぞれが無双の個性を持つ彼女たちが、765プロや、『ミリオンライブ!』の面々と絡むとどんな反応が見られるのか、二日目だけに楽しみだった。

だが、個人的に一番印象に残ったのが「顔芸」だったのは、果たして喜ぶべきことだろうか。「アタシポンコツアンドロイド」でスクリーンに大写しになった大橋の「ぽかーん!」と開いた口は、「…間違いなくこの子はポンコツだ!」と感じるもの(表現)だった。高森はにっこり、松嵜はおにゃーしゃー! という感じでそれぞれのらしい笑顔を見せていたが、五十嵐はキュートさをぶいぶい示すことには慣れていないのか、少しぎこちない。だが低いところで結んだふたつ結びはビジュアル的に過去最高に杏だったし、「あんずのうた」を歌い終えた時の「終わったぜ…」という感じのほっとした様子や、ソロ曲で一仕事終えたあとのMCが一番笑顔だったのも、やはりこれは杏だと思わされた。

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顔芸の話につけくわえるなら、黒沢は「Romantic Now」で“視線を感知”した瞬間、本当にびっくりした顔をしていた。“喜怒哀楽”以外の表情をステージで見ることは少ないから、とても新鮮だ。全身で楽しみ、全身で喜び、全身で飛び跳ね、躍動する様子がステージから最後方の客席まで飛び出してくるようで、何かパフォーマンスの質の違いを感じた。

「Orange Sapphire」では、佳村はるかと山本希望の城ヶ崎姉妹の夢の共演が実現。だが原紗友里と、どう考えてもキュートよりパッション寄りなウサミン三宅も加わってのチームパッションだったこともあり、ダンサーを交えて閃光の中かっこいいパフォーマンスをしていた印象が強い。やはり、お姉ちゃんが大好きな莉嘉と、そんな莉嘉が大好きな美嘉の関係がわかるような、ニヤニヤしてしまうデュオなども求められているのではないだろうか。

シンデレラたちの個性は強い。そして、両日を通して歌われた歌の中でも、五十嵐の「あんずのうた」と三宅の「メルヘンデビュー!」は、客席の誰もが楽しみにしているように見えたし、実際とても大きな盛り上がりを見せていた。三宅がシンデレラ全員を従えての「メルヘンデビュー!」では、会場を完全にウサミン星に変えていたと思う。

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だが、個人的に一番輝いて見えたのは、その間で「おねだりShall We~?」を歌った高森奈津美だった。前日がみくの誕生日だったという高森のステージでの気合は充実しきっていた。真剣なにゃんにゃんダンスは、500レベルからもはっきり肉眼で動きの良さがわかる。そして、途方も無い人気曲の間で歌う彼女のために、スタッフも全力でフォローをしていた。スクリーンに映し出された猫のシアターと電飾に彩られた大階段。音数を増やし、ビッグバンド風に分厚さを増したサウンド。大会場だからできる演出だが、それを生かすには本人のパフォーマンスが吊りあっていないと意味が無い。

昨年の8周年ツアーの大阪会場ではまだボーカルやダンスに少し迷いを感じた高森だが、この日のパフォーマンスは文句なし。超満員の客席を「ニャー!ニャー!」と楽しそうに盛り上げながら、前川みくならではのエンターテイメントなステージに仕上げていた。高森は大好きなアイマスの大舞台に上がるため、きっとすごく頑張ったのだと思う。半年間の、変化と成長。だから、アイドルマスターは面白い。

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二日目の締めはもちろん、「M@STER PIECE」と「IDOL POWER RAINBOW」。実は「M@STER PIECE」は、劇場版を見て予感したほどには、感動しなかった。今回のライブに関しては、「M@STER PIECE」は765プロの夢のアリーナを再現するというよりは、アイマスという大河の流れの中の大切な1ページとして提示しただけなように思えたからだ。アイマスライブチームがアニメチームと本気で勝負する時は、きっともっと泣ける気がするので、今回は涙はお預けだ。

そして今回のライブには、アンコールがなかった。今まで一緒に過ごしてきた楽曲と作品たちを一緒に抱きしめるなら、順番や序列をつけるのは野暮というもの。敢えて一番後に置く曲は、やはり“これから”を担う3組…いや、4組が一緒に歌う、新曲がふさわしい。だが、そこにある楽曲の作り手が、アイマスの始まりである「THE IDOLM@STER」と同じ佐々木宏人であることに、どこか安心している自分もいる。

中村が音頭を取って、史上最大の「アイマスですよ、アイマス!」でライブを締めくくると、山崎がミリオンチームを、大橋がシンデレラチームを引っ張って花道を駆けていく。戸松が、誇りを込めて「『アイドルマスター ディアリースターズ』でした!」と名乗り、センターステージを降りていった。最後に765プロが退場していく間も、ステージと会場は無数のありがとうで満たされていた。

ステージには誰もいなくなったが、会場にはステージには上がらず、ライブを最後の最後まで見守っていた我々の同僚が、もうひとり。「輝きの向こう側へ、行けましたか? 俺は本当に忘れません。今日のこのステージを。俺たちはこれからも、今を大切に、悔いを残さないように、頑張り続けます!」。

Text & Photo by 中里キリ


”THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2014”SETLIST
2014.02.23 @さいたまスーパーアリーナ(二日目)

M01:THE IDOLM@STER
M02:READY!!
M03:CHANGE!!!!
M04:ラムネ色 青春
M05:Rebellion
M06:Mythmaker
M07:ビジョナリー
M08:乙女よ大志を抱け!!
M09:The world is all one !!
M10:PRETTY DREAMER
M11:トキメキの音符になって
M12:オリジナル声になって
M13:Blue Symphony
M14:MEGARE!
M15:Orange Sapphire
M16:あんずのうた
M17:おねだりShall We~?
M18:メルヘンデビュー!
M19:ALRIGHT*
M20:自転車
M21:edeN
M22:自分REST@RT

▼メドレー
キラメキラリ
ラ♥ブ♥リ♥
私はアイドル♡
エージェント夜を往く
arcadia
Alice or Guilty
“HELLO!!”
GO MY WAY!!
待ち受けプリンス
i
いっぱいいっぱい
Vault That Borderline!

M23:Thank You!
M24:お願い!シンデレラ
M25:Romantic Now
M26:DOKIDOKIリズム
M27:アタシポンコツアンドロイド
M28:Nation Blue
M29:MUSIC♪
M30:Precious Grain
M31:素敵なキセキ
M32:ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン
M33:恋のLesson初級編
M34:Sentimental Venus
M35:my song
M36:チクタク
M37:恋花
M38:君が選ぶ道
M39:約束
M40:M@STER PIECE
M41:IDOL POWER RAINBOW

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