INTERVIEW
2014.02.19
制作に入ると、外音もシャットアウトしてひたすら作り続けてます
――カップリング曲のお話もうかがっていきたいと思います。まずは「インテンション・プロペラント」。これはサビの歌詞にスプートニクが出てきますが、昔の宇宙開発の話がテーマになっていると。
やなぎなぎ そこがテーマというよりは、もっと宇宙全体に対する恐怖とか憧れとか、そっちの方が大きくて、そのモチーフとしてスプートニクがある感じです。
――カップリングは2曲ともなぎさんらしいエレクトロニカになっていますが、作編曲されたARCHITECTさんというのはどんなかたなんですか?
やなぎなぎ 若手の作家さんでおもしろい人がいるよって聴かせてもらって、最初に「やなぎなぎに歌わせたいデモをください」っておねがいしたら、いただいた何曲かの中にこの曲があったんです。
――まず曲があってそこから歌詞のイメージをふくらませていったと。
やなぎなぎ そうですね。曲を聴いて、サビで上昇していくようなイメージが浮かんだので、そういうところからロケットとか宇宙とかに発展していきました。
――シンプルなビートのトラックから入って、サビでグッと盛り上がる曲になってますね。歌詞も含めて不思議な感じがいいなあと思いながら聴かせていただきました。そして3曲目が「unjour」ですね。これは詞も曲もトラックもなぎさんご自身手がけられたということで。
やなぎなぎ はい、全部わたしが作りました。
――ひとりで作るといろいろ根を詰めたり、時間がかかったりすると以前お話していましたが、今回はどうでしたか?
やなぎなぎ あいかわらず時間はかかったんですが、今回はテーマに持ってきてるのが、実際にある「unjour」っていう絵本なんです。なので歌詞の内容とかテーマとかは元から考えてあったので、そのイメージを曲にあてはめる作業はスムーズにいきました。
――ほう、そうなんですか! 実際にそうして自分でトラックを作ってるときというのは、メロディや歌詞を作るときとはまた別の感覚だったりするんですか?
やなぎなぎ 一度制作に入ると、きりのいいところにいくまで作業がやめられないんですよね。「ここでやめたらもうこの曲完成しない!」ぐらいの感じで、ずっと曲にかかりきりになるというか。他の作業はおいといて、まずこの曲をどうにか形にしないとっていう(笑)。
――なるほど。じゃあトラックも含めて自分で曲を作る最中は、外音もシャットアウトする感じで。
やなぎなぎ そうですね、ひたすら作ってますね。
自分で完結した物語を作って、それにあわせた作曲をしてみたい
――今回のシングルはご自身のプロダクツや新しい作家さんとのやりとりなど、なぎさんの2014年の活動が見えてきた作品になっていると思います。現在はまさにツアーの真っ最中ですが、昨年のツアーからのアンコールということで、今回は前回と比べてどんな感触でしょう?
やなぎなぎ 前回はよかったところもやりきれなかったところもあって、そういう部分を「もっとこうできるな」って自分でふりかえる機会ができたのはすごくいいなと思いました。去年のツアーをふまえて、今回の最後の東京公演で完成するようなイメージでやりたいなと。
――昨年の初演をSHIBUYA-AXで見たときに「これはもっとデカい会場で見てみたいな」と感じたので、今回のラストが東京国際フォーラムだと発表になったときに「おっ」って思いましたよ。リリースから時間もたって、「エウアル」の世界観をより俯瞰して見られる感じですね。
やなぎなぎ そうですね、ちょっと寝かして熟成させたみたいな感じで。
――こうやって1月からツアーがあって、今回リリースもあって、いよいよ2014年も動きだした感がありますが、あらためて今年の活動についての展望を聞かせてください。
やなぎなぎ 実現できるかどうかはともかく考えているのは、自分で完結した物語を作って、それにあわせて自分でイメージした楽曲を作るっていうのをやってみたいです。
――さきほどのMVの話やライブステージの構成もそうですが、なぎさんの中で徐々にストーリーテリングへの思いがふくらんできたと。
やなぎなぎ そうですね。今までの歌詞や曲は全体の一部分を切り取ったものだったので、しっかりしたオチがある「こういうお話ですよ」っていう作品の制作を一回やってみたいなと。
――いろいろとやりたいこともある一方で、間をおかずにリリースが続いていますが、サウンドも含めて今後どう変化していくのか楽しみです。ツアー中はいろいろと律してる部分もあるとは思いますが。
やなぎなぎ はい、ツアーが終わるまではお酒も禁じているので(笑)。
――禁じてますか(笑)。制作期間中はストイックになることが多いと思うんですが、それが一区切りついたら、自分の時間とかは作られるんですか?
やなぎなぎ どっか旅行とかに行きたいなとか思うこともあるんですが、ライブの後って逆に創作意欲が湧いたりすることが多いですね。
――いい意味で創作の連鎖がサイクルとして続いていくわけですね。まだまだ寒いのでお体にだけは気をつけてください。
やなぎなぎ ありがとうございます。気をつけて頑張りたいと思います。
Interview by 澄川龍一(リスアニ!)
Text by 田中尚道(クリエンタ)
【プロフィール】
やなぎなぎ:5月31日生まれ 関西出身
2006年から、ライブハウスやインターネット上で音楽活動をするアーティスト/ボーカリスト。 2009年、supercellからオファーを受け、「nagi」名義でゲストボーカルを担当。2012年2月29日、TVアニメ「あの夏で待ってる」EDテーマ「ビードロ模様」でメジャーソロデビュー。
2013年7月3日には待望の1stアルバム「エウアル」をリリース。オリコンウィークリー 4位を記録。2013年11月20日には6thシングル「アクアテラリウム」(TVアニメ「凪のあすから」EDテーマ)をリリース。
【リリースインフォメーション】
やなぎなぎ「三つ葉の結びめ」
[初回限定盤<CD+特典DVD>]
(GNCA-0325)1,600円+税
[通常盤<CD>]
(GNCA-0326)1,200円+税
[CD収録曲]
01. 三つ葉の結びめ
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:出羽良彰
02. インテンション・プロペラント
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲 ARCHITECT
03. unjour (ヨミ:アンジュール
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
04. 三つ葉の結びめ (instrumental)
05. インテンション・プロペラント(instrumental)
06. unjour (instrumental)
■【初回限定盤特典】DVD付き (内容:「三つ葉の結びめ」PV)
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