REPORT
2014.02.18
2014年1月26日(日)、東京・渋谷のAiiA Theater Tokyoにて、KOTOKOの単独ライブツアー「KOTOKO LIVE TOUR 2014 “空中パズル”」の東京公演が開催された。以下、ライブレポートをお届けする。
メジャーデビュー10周年を控えた2014年、6枚目のオリジナルアルバム『空中パズル』をひっさげての新年初ライブとなった本公演。記念すべきことが盛り沢山のKOTOKOを祝うかのように集まったファンを前に、新旧織り交ぜた26曲を披露する充実のステージで感謝を伝えた。
ライブはアルバムの先頭曲「My-Les」で幕を開け、スピード感溢れる楽曲と迫力の生バンド演奏で冒頭から大盛況。KOTOKOの、ひいてはI’veのクリエイター陣による楽曲は打ち込みサウンドを基調にしたものが多いが、ライブではそこに生バンドの演奏が合わさることによって、その場でしか味わえないグルーヴが生まれる。続くトランス曲「WING OF ZERO -the ring-」でも、CD音源とは良い意味で異なる表情が見られて何とも楽しい。
今回は1月の公演ということで、冬を意識した楽曲が数多く盛り込まれていたのも大きな特徴だ。八木沼悟志の作曲とKOTOKOの詞が切ない情景を描く「frozen fir tree」、1stアルバム『羽-hane-』からの披露となった「冬の雫」が続き、新旧が交錯するセットリストがファン心には嬉しいところ。そしてTVアニメ『おねがい☆ティーチャー』のイメージソング「snow angel」では、イントロが流れた瞬間に歓声が巻き起こり、終わった後には「ありがとう!」の声と盛大な拍手が。このような愛され方をされるのは、アーティスト冥利に尽きることだろう。
さらには「原罪のレクイエム」でステージを赤とオレンジの光で染め上げたかと思えば、「初のウェディングソング」と語る「Largo」ではサイリウムを振る手を止めて聴き入る人が多かったりと、本当に楽曲が多彩でバラエティ豊か。また軽快なバンドサウンドの楽曲も多数あり、サビで左右に大きく手を振るのが最高に楽しい「Loop-the-Loop」(TVアニメ『もっとTo LOVEる』OP曲)や、青春のど真ん中をいくロックナンバー「Rock☆DE フルーツバスケット♪」などでは、バンドメンバーもステージを駆けまわって楽しそうだ。
そして「Light My Fire」(TVアニメ『灼眼のシャナIII-FINAL-』前期OPテーマ)では再びサイリウムの光が一面の赤色に! サビではKOTOKOに続いて「Woh!」の掛け声が響き渡り、気づけば演者も観客も、皆が汗だくになっていた。ここまで20曲、時計の針も20時をまわり、そろそろ楽しい一時の終わりが見え始めてくる。「あと2曲!」の声と共に披露されたのは、アルバムでも終盤に収録されているトランス「P◇liG△n」、そして表題曲の「空中パズル」。大きく盛り上がったものの、やはりまだまだ不完全燃焼。満場一致でアンコールの声が湧き上がり、再びKOTOKOがステージに現れる。
アンコールは3曲。はじめの「Presto」では客席からハンドクラップが起こり、あと1ヶ月と少しに迫った卒業シーズンを手の音で演出する。続く「開け!ソラノオト」は底抜けにポジティブなロックナンバーで会場のボルテージはまた急上昇し、満を持してアルバムの最後を飾る曲「→unfinished→」(TVアニメ『アクセル・ワールド』ED曲)を披露。加速をテーマにしたこの曲と重なるかのように、楽しい時間があっという間に過ぎ去っていく。
しかし“あの曲”がまだ出ていない。すかさず湧き上がった「もう一回!」の声。それがだんだんと大きくなり、熱烈なダブルアンコールに応え再登場したKOTOKOは……なんとバスケットボールをつきながら、ビブスを着て現れた! ドリブルしながらMCを続け、CMの再現で「あのゴールにシュートが入らないと曲が始まらないことになっているんです」と解説。客席からの「こーとーこ!」コールに後押しされ、4投目で無事SHOOT! ゲームが動き始めた。
色とりどりのサイリウムで彩られながらの「SHOOT!」で燃え尽きたあとに、まさかの重大発表。メジャーデビュー10周年の4月21日(アルバム『羽-hane-』のリリース日)を間近に控えた4月19日から、なんと全国47都道府県でのツアーを行うことが発表された。その名も「KOTOKO 10th Anniversary Live Tour “47 ARCH”~駆け回り食べまくり!NEO~」!翌年の4月19日まで一年間の時間をじっくりかけて全国をめぐるそうで、会場の熱心なファンからは大歓声と「会いにいくよ!」の声が鳴り止まなかった。10年と言わず、メジャーデビュー前から様々な楽曲で歌ってきたKOTOKO。長い、本当に長い時間をかけてファンと築き上げてきた絆と信頼、そしてそこから生まれる温かみが、真冬の渋谷の劇場を包んでいた。
Text by 山中貴幸
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