REPORT
2013.12.22
2013年12月14日(土)、東京・お台場のZepp Diver City Tokyoにて、『今井麻美 7th Solo Live Tour 「この雲の果て」―Supported by あるあるCity―』が開催された。ライブツアー初日の東京公演となる今回は、2013年の集大成となったアルバム『この雲の果て』の楽曲を中心に、持ち前の歌唱力と軽妙なトークで満員のファンを魅了した。
オールスタンディングの会場に詰めかけた約2000人のファンたち。場内が暗転し、BGMが変わるとに青のサイリウムが点灯し始め、手拍子が始まる。すると「この雲の果て」のイントロが流れ、バイオリンとキーボードの音色に導かれるかのように今井麻美が登場! 同曲同局のPVで使われた衣装で熱唱し、ファンもその神々しさに応えるかのように白と青のサイリウムで客席を染め上げる。「私のライブへようこそ! 次はこの歌ですよ!」と続けざまに「路地裏のプラネタリウム」に。曲に合わせ今度は場内が黄色と青の光で染まり、弾むようなリズムのサビでは今井のパフォーマンスに合わせて光が大きく左右に揺れた。
MCでは「みんなの顔が、段ボール箱にみかんが並んでいるみたいによく見える」と独特の例えで、ステージと客席の距離の近さを喜ぶ。そして「次の3曲はいきなり最大の山場!」との言葉通り、「Kissing a dream」「無限旋律」というアップテンポでダンスの激しい楽曲を2曲連続で披露。そしてアンデス調ポップス「旅人」では、楽曲の持つ情熱的な世界観を表現するかのように、客席のサイリウムが燃えるような赤とオレンジに染まった。
かつて6thライブにあたる「今井麻美 Birthday Live 2013」(5月25日、26日、日本青年館)が「blue stage」と「orange stage」の2daysで行われたことからも分かるように、今井麻美の楽曲は実にバラエティ豊かだ。
「今回新たにチャレンジした曲」と語る「天空の炎~miragem~」のジャズアレンジ版では、しっとりした大人のジャズ歌唱を披露。サックスソロを挟みつつ、時に妖艶に、時に情熱的に恋焦がれる思いを表現する。歌い終えたとき、それまでサイリウムを脇に抱え、静かに聴き入っていた客席からは割れんばかりの大きな拍手と歓声が送られた。
続いて久しぶりにライブで披露された「夢のMAHOROBA」では、幻想的な雰囲気になったかと思えば、MCで先日の「今井麻美 アコースティックライブ2013」(11月24日、栃木県・大谷資料館)で急な寒波に見まわれたことに触れ、「とにかく寒かった」とのコメントに場内はほっこり。その流れから「皆さんにも寒暖の差をぜひ体感して欲しい」と、冬と夏で対照的な2曲「雪原のカルマ」と「夏色Sunshine flower」を連続で歌い上げる。さらに力強いバラード「クレッシェンド」の最後のサビでは客席を巻き込んだ合唱に。ひときわ大きな余韻と共に前半が終了した。
ここで今井は一旦ステージを後にし、その間はバンドメンバー“+A”によるinstrumentalパートに。軽快でファンキーな演奏に合わせてファンがクラップやサイリウムで応じれば、ファイアーさん(渡辺ファイアー)のサックスをはじめとした各メンバーのソロ演奏がさらに客席を熱くさせ、やがてコール&レスポンスでバンドとファンがひとつになっていた。
濃密なinstrumentalパートの終わりと共に、お色直しを終えた今井が再び登場。サンタ風の衣装に身を包み、おなじみ「ジングルベル」の音楽に合わせて客席にプレゼントとサインボールをの客席に投げ込むプレゼント。今井とバンドメンバー、そしてファンが一体となって大はしゃぎする微笑ましい時間を楽しんだあとは、会場全体で「メリークリスマス!」コールで締め括った。
さらにライブは続き、「海月~Jellyfish~」ではクラゲの浮遊感を感じさせる楽曲と、アクアリウムを思わせるライトで彩られたステージはまさに癒しの空間に。さらに「Rain~てのひらのアンブレラ~」、「Tender Is The Night」と優しい気持ちになれるラブソングが続き、その余韻を残したまま再び楽しいMCの時間に。「めでたいこと」をテーマに客席にマイクを向け、ファンを時に祝ったり時にいじったりと、今井ならではのフランクなトークで場内を盛り上げた。
ライブも終盤にさしかかり、大きくコールが入る曲が続く。キュートでアップテンポなラブソング「Dear Darling」では一面がピンク色のサイリウムで埋め尽くされ、サビではその光が大きく波打つ。「フレーム越しの恋」ではサビの「Fu!」というコールがとにかく気持ち良い。そしてセットリストの最後を飾るのは、2曲続けての『コープスパーティー』シリーズ主題歌。「シャングリラ」はPSPソフト『ブラッドカバー リピーティッドフィアー』OPテーマ。ゲームのホラーな雰囲気を表すかのように、クワイアやパイプオルガンが荘厳に響くイントロと、バンドサウンド主体の力強いサビの対比が印象的な曲だ。薄暗い照明のなか、客席からの赤いサイリウムの光が場内を彩る光景は、2010年7月のリリース以来本当にこの曲が長く愛されてきたことがわかる瞬間だった。そして続く「星屑のリング」は『Tortured Souls ―暴虐された魂の呪叫―』のOPテーマ。神秘的なクワイアとストリングスの音色に合わせて、黄色と白のサイリウムが神々しく感じる。
もちろんライブはまだ終わらない。客席からは「ミーンゴス!」コールが鳴り止まない。コールが一体化し始めた時、再びステージに今井と+Aが登場。和楽器の音が印象的な「散花の祈り」、スピード感溢れるロックナンバー「struggle」を立て続けに披露。最後はアルバム「この雲の果て」のラスト曲でもある壮大なバラード「Jewel’s Tree」を歌い上げ、「この幸せがずっと続きますように!」とファンへの感謝を込めて締め括った。しんみりとした幕引きだった……と思ったのもつかの間、舞台袖からまた今井が出てきて「ありがとー!」と叫びながらステージ場内を駆けまわり、帰り支度を始めようとしたファンを驚かせた。実に彼女らしい、サービス精神に溢れたステージは3時間ほどの長丁場を感じさせないものだった。
今井麻美のステージは、バンドメンバーも含めた温かい雰囲気、リピーターの多い観客、そして今井のトークの軽妙さが相まって、他のどこにもない独特の距離感が魅力となっている。今後は大阪、仙台、北九州での公演が予定されているが、一度来ればまた足を運びたくなる。そんな楽しさの輪がぜひとも全国に広まってて欲しいと感じた。
Text by 山中貴幸
【ライブデータ】
『今井麻美 7th Solo Live Tour 「この雲の果て」―Supported by あるあるCity―』
2013.12.14(Sat)@Zepp Diver City Tokyo
【セットリスト】
01 この雲の果て
02 路地裏のプラネタリウム
03 Kissing a dream
04 無限旋律
05 旅人
06 天空の炎~miragem~ ―Jazz arr. Ver.―
07 夢のMAHOROBA
08 雪原のカルマ
09 夏色Sunshine flower
10 クレッシェンド
11 instrumental
12 ジングルベル
13 海月~Jellyfish~
14 Rain~てのひらのアンブレラ~
15 Tender Is The Night
16 Dear Darling
17 フレーム越しの恋
18 シャングリラ
19 星屑のリング
Encore
20 散華の祈り
21 struggle
22 Jewel’s Tree
【公演情報】
【大阪】
日時:2013年12月29日(日)
会場:大阪BIGCAT *ゲスト:原 由実
開場/開演:17:00/18:00
【仙台】
日時:2014年1月26日(日)
会場:仙台RENSA
開場/開演:17:30/18:00
【北九州】
日時:2014年2月1日(土)、2日(日)
会場:北九州あるあるCity
開場/開演:2月1日(土)17:30/18:00
2月2日(日)15:30/16:00
【リリースインフォメーション】
今井麻美 /『この雲の果て』
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