INTERVIEW
2013.11.06
TVアニメ『WHITE ALBUM2』OPテーマ、「届かない恋‘13」発売記念、上原れなスペシャル・インタビューを掲載!
――「リスアニ!」初登場ということで、まず最初に基本的なこともお伺いしたいと思います。そもそもどういったきっかけでデビューに至ったんでしょうか?
上原れな(以下、上原) 小さい頃からの音楽をやってみたいっていう気持ちが諦めきれなくて、高校を卒業して、歌のことを学ぶために音楽の専門学校に進学したんです。そこでは半年に1回ほど、音楽業界の方がいらっしゃって自分の作った音源をプレゼンする機会がありまして。そのとき今のレコード会社の方と出会ってオーディションのお話をいただき、選んでいただきました。そこからトントン拍子に、話が進んで“アクアプラスフェスタ2007”でステージデビューさせていただくことが決まったんです。オーディションから半年くらい、本当にあっという間なことでした。“アクアプラスフェスタ2007”は2、3千人のお客さんがいらっしゃってて、そんな多くの人たちの前でステージに立つっていうのは初めてだったので、最初は何がなんだか分からない状態でした。
――デビューされてから、本当に幅広く楽曲を歌われていますよね。今回リリースとなるシングル「届かない恋 ’13」は切ない曲が詰まったものですが。
上原 デビューのときは爽やかでフレッシュな感じやかわいらしい感じの曲のイメージが強かったと思うんですけど、今はちょっと大人っぽい感じになってきたかな? とも思うので、今このタイミングでそういう楽曲を歌えるのはすごくうれしいですね。
――そのシングルからまず表題曲「届かない恋 ’13」ですが、ゲーム版から引き続きTVアニメ版も『WHITE ALBUM2』のOPテーマとなっています。リアレンジされたものを最初に聴いたとき、どういった印象を受けましたか?
上原 元々オリジナル・バージョンがすごく人気のある楽曲なので、「さらにリアレンジされてどう良くなるのか?」っていうのが私自身も楽しみでした。やっぱりTVアニメ・バージョンということで、原曲のイメージを壊さずにいながら、もっと音楽的にこだわった感じにパワーアップして帰ってきたっていうのが第一印象でしたね。
――改めてレコーディングされた際の感触はいかがでしたか?
上原 最初に私が思っていたのは、あまり原曲のイメージを崩しすぎるとゲームから好きでいてくれるファンの方が「ん?」って思ってしまうかな、っていうのもあったので、歌の方もイメージはそのままにどうパワーアップさせるか? というのにすごく悩みました。リアレンジでは、打ち込み主体だったサウンドが生楽器主体の厚いバンド・サウンドになったし、ストリングスも前に出てくるラインなので、歌もアタック感を強めに結構前に行ってくれ、と言われて。そういうイメージで、力強さもさらにプラスされた感じになったかな、と思いますね。
――そのなかで、Bメロや落ちサビの切なさがより深堀りされているような印象があります。
上原 オリジナルのバージョンから3年くらい経っているなかで、私自身曲に対する思い入れが強くなっていました。そのうえで、今回レコーディングをする前に、作品中の心情をもう一度自分の中に取り込むために改めてゲームをプレイしたんです。そうしてこの歌の主人公になりきるぐらいの切ない想いを、歌の表情として絶対に前のバージョンより出したいなって思っていたので、そう感じていただけてうれしいです。
――ストーリーの進行につれて、どんどん作品にハマっていく曲になっているように感じました。
上原 この曲って、物語を知ったらさらに深く感じられるような楽曲になっているんです。なので、もちろんアニメ自体が好きな人にもいいと思ってもらえるように作りたかったし、単体の音楽としても高いクオリティにしたいということで、スタッフの皆さんとこだわって作って、すごくいい感じに仕上がったと思います。
――そのほかの楽曲についてもお話もお伺いしていきます。まずは新曲「さよならのこと」。こちらもストーリーとともに重みを増していく楽曲のように感じました。
上原 そうですね。本当に『WHITE ALBUM2』の曲っていうのは、どの曲も作品に浸るほど歌詞の深さが突き刺さってくると思うんですけれども、この曲も本当にそういう感じですね。歌詞を見ながら聴いていると、アニメを思い返していろいろ考える部分が皆さんもあるんじゃないかな? って思うような楽曲になりました。Aメロは結構シンプルに切なく入ってくるんですけど、サビではちょっと明るい感じに聞こえるんですけど、でも切ない。そんな、いろんな面が見える楽曲だと思います。
――レコーディングではどういう点に気をつけられましたか?
上原 少年少女が恋を経験して、ちょっとずつ大人になっていくという感じなので、その微妙ないい時期を声でも表現するために、少女と大人の間どっちにも振り過ぎないようにピンポイントな声色を狙う、っていうのがちょっと難しかったところではありました。
――上原さんの歌声が、この曲を重くさせすぎないような絶妙なものにさせていると思います。
上原 聴いてもらった人にいろんな解釈をしてもらいたいっていうのは、作詞作曲の下川(直哉)さんの想いでもあるし、私もこの曲に限らずちょっと一歩引いた感じで歌うというのをすべての曲で意識しています。あまり声でカラーを出し過ぎるとそのイメージにしか聴こえなかったりするので、聴いてくださる方々に想像の幅を持ってもらえたら。
――続いて、「closing ’13」。こちらはリアレンジで結構印象が変わったようにも感じたんですが。
上原 そうですね、私も最初「届かない恋 ’13 」よりはリアレンジして帰ってきたっていう感が強いかな、っていうふうに感じました。イントロや間奏の部分がかなり印象が変わったかな? って。
――そうすると、歌う際に気をつけられたことも多かったのでは?
上原 特にこの曲は原曲から変わった部分が大きかったので、原曲で歌い慣れていた部分もあってレコーディングは結構大変でした。リアレンジはリズム楽器も生楽器になってストリングスも入ってきているので、その生音に負けないくらい私も想いを吐き出して、原曲よりもよりアグレッシブに歌いました。葛藤のなかで、サビでやっと自分の本音を出したっていう感じの曲になっているので、Aメロからサビにかけて徐々に感情を声でも表に出していくっていう感じは、原曲から変わらず意識した部分ではありますね。
――なるほど。ちなみに、今回編曲で参加された小林俊太郎さんはレコーディングにはいらっしゃったんですか?
上原 歌のレコーディングはエンジニアの橋本さんにディレクションをお願いしたので、小林さんは基本的に立ち会いはなかったんですが、わざわざ覗きに来てくださって、少しお話させていただきました。実はちゃんとお話したのはそのときが初めてだったんですけれども、「ありそうな声色なんだけど、いい声してるよね」って言ってくださったのがすごくうれしかったですね。あと、今回はストリングスを録ってるレコーディングの現場も見させていただきました。すごく感動しましたね。生のストリングスの音が一斉に揃うっていうのは、かっこいいですね。3年前から歌い継いできた曲が、こんなにもたくさんの音のプロの方々と一緒に作って大きくなって帰ってきた、というのを改めて実感して、私もまたさらに「しっかり歌わないといけないな」という責任感を感じたりもしましたね。
――そうしてレコーディングされた楽曲たちが、アニメの絵と合わさって現在放送されています。アニメをご覧になって、改めてどう感じられていますか?
上原 もう、「すごい!」の一言ですね。ゲームをやっていたときからこの作品ってある種小説のような物語なので、「アニメになったらどうなるんだろう?」っていうのはいつも思ってたんですよ。でも、実際映像になって声優さんの声が入って動いているキャラたちを見て、すごく感動しましたね。TVアニメの主題歌を担当させていただくのは今回が初めてなんですけど、「いつか絶対TVアニメの主題歌も歌いたい」っていうのはひとつの目標でもあり夢でもあったので、それが叶ってうれしいです。
――今まで3年ぐらいかけて一緒に育ってきた曲が、満を持してですもんね。
上原 そうですね、ここまで大きくなるとは私も思っていなくて。そこもうれしいですね。
――そして、リリース後には『WHITE ALBUM2』のコンサートを控えています。
上原 今までも『WHITE ALBUM2』のライブっていうのはやらせてもらっていたんですけども、この新しく生まれ変わったバージョンで、しかもホールで生の楽器でストリングスも入ってくる構成での生歌は私も初めてになるので、どんな感じになるのか? っていうのはすごく今から楽しみです。
――ご自身としても来年3月に東名阪のツアーを開催されます。今回は場所も増えて、よりパワーアップしたものになっているのかな? と思うんですけれども。
上原 前回は初めてのワンマンライブだったので、そのステージに立てたことが感無量でした。私自身は必死だったんですが、来てくださった皆さんが本当に温かかったので、今振り返るとあっという間に楽しい時間が過ぎ去った、っていう感じでしたね。だから今回ももっと、私の方から皆さんに楽しんでいただけるように、よりパワーアップした楽曲と歌声を皆さんに届けられるようにできればと思いますし、みんなで作るライブにもしたいなって思いますね。
――ちなみに、名古屋のお客さんは初めてですか?
上原 名古屋はイベントで行かせてもらったことはあります。ラジオの公開録音か何かで出させていただいたことがあるんですけれども、そのときめちゃくちゃ笑顔で迎えてくださったので、「名古屋の人ってめっちゃ温かい」っていう印象があるんです。なので、今回のツアーでもお会いできるのを本当に楽しみにしています。
【プロフィール】
ウエハラレナ/8月12日生まれのシンガー。専門学校時代に受けたオーディションが切っ掛けで、2007年にパシフィコ横浜で開催された”アクアプラスフェスタ2007”のステージでデビューを果たす。その翌年にはゲーム「ToHeart2 AnotherDays」EDテーマ「コスモスのように」、OVA『ToHeart2ad』OPテーマ「虹の架け橋」を同時にリリースし、CDデビュー。その後も数々のアクアプラス作品の主題歌などで支持を集める。
【リリースインフォメーション】
上原れな 4th Single
「届かない恋 ’13」
2013年11月6日発売
KICM-4035/¥1,200
※期間限定版はTVアニメ「WHITE ALBUM2」書下ろしイラストを用いた特製スリーブ仕様
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