INTERVIEW
2013.10.05
――そして声優になって、今度はお仕事として歌う機会が出てきます。
日笠 アップテンポな曲とかロックって最初は衝撃だったんですけど、気づくと好きになって、今度はそういう音楽を聴くようになって。今は、興味のある音楽を広げてる最中ですね。
――その中で、影響を受けた方はいますか?
日笠 最近、玉置浩二さんがテレビで歌ってるのを見て「私がやりたいのはこれだ!」って思ったんですよ。そのときにしか出せない声とか感情がこぼれてて、「やっぱり人の想いが心を揺さぶるんだ」ってことを教えられたような気がしました。あと私、安室奈美恵さんのライブが大好きなんです。ライブはつねに生歌だし、ものすごい高いピンヒールで踊るしMCも挟まない。自分の世界観を貫きながらも向上心が見えて……私、そういうふうになりたいんだと思います。私も生歌にこだわりたくて。やっぱり、誰かの感情を動かすにはそのときに出た心の声じゃなくてはいけないと思うから。歌うのが難しい状況でも、「できるように私が練習すればいっか」って思ってます。
――お好きなアーティストさんには、心情を吐露するようなタイプの方が多いと感じました。
日笠 やっぱりそこに私の性格が出るんでしょうね。私、本当に嘘つくのが下手なうえに苦手なんですよ。嘘をつくと、それを塗り固めるためにどんどん違う話になっちゃうから、そんなペラペラなもので誰かに伝わるわけがないですし。だから、歌でもまっすぐ自分が思ってることを伝えたいですね。誰かの心を動かすのはやっぱり人の想いだから、私はそこに嘘はつかないし、いつでも何の防御壁もなくぶつかっていきたいです。
――今、日笠さんが歌で表現したいことや伝えていきたいことは?
日笠 ありきたりだけど「音楽って楽しいよ」ってことですね。歌ってるときに苦しんだり悩んだり、みんなで試行錯誤もするけど、私はそれも含めて楽しいんです。そうして苦労してスタッフさんとか作家さんみんなが私を作ってくれたから、その声が全部詰まってるのが私の歌であり音楽なんです。次はライブを目標にしてるんですが、今度はそこでお客さんがひとつになって「日笠陽子」を作ってほしいなって思ってます。
――そのライブですが、すでに開催が発表されています。
日笠 ドキドキですね。今、構想の話もいろいろしてますけど、そこでもぶつかってます。でもそれは、それだけ考えてくれてる人がいるってことなので、いいライブを作るために私はどんどんぶつかろうって思ってます。私、「ライブはMC入れたくない」って言ってみたんですよ。結局それはNGだったんですけど、ライブのディレクターさんはその気持ちを認めてくださったうえで「でも日笠陽子さんの言葉で、曲を作る過程とか想いとか、ステージに立ってるときの気持ちを聞きたい人もいる。言わないと伝わらないときもあるんだよ」って言ってくださって。すごく納得できました。私がめざしているものは、歌だけで誰かの心を動かせるようなライブ。だけどそのために、今は自分の言葉で伝えることも必要なんだ、って思えてるので、たぶんライブではトークをしてると思います。でも今はその過程なので、変わってもいいし。
――ライブに向けての抱負をひと言お願いします。
日笠 皆さんと一体感を感じられるライブにしたいです。それが実現できたら、本当に幸せですね。ラストの曲はもう決まってるんですけど、まだ秘密!(笑)。
――ライブを経て、どんなアーティストをめざしていきたいですか?
日笠 私は今、「誰かのために歌いたい」って信念を持ってやっているんですが、それを見て「こんな日笠が見たかったんじゃない」って離れていく人ももちろんいると思います。でも、私がやってるものを心から「いいね」って思ったり、私が伝えた想いを受け取って「日笠陽子」を一緒に作っていきたいって心を動かしてもらえたら、その人たちのために歌っていきたいです。あと、私は「声優と歌を分ける」って言い続けてるんですが、やっぱり切っても切れないものもあって。なので、「声優だろうと歌だろうと関係ない。全部表現よ」なんて言える30代になってたいですね。だからこそ今は、がむしゃらに自分の信念を貫き通す20代でいたいです。
――その活動の中で、ご自身で歌詞や曲を書きたいという想いはないんでしょうか?
日笠 最近少しずつ「書いてもいいかもしれない」って思うようになりました。自分の言葉を歌詞に乗せて伝えるのには技術が必要だと思うんですけど、その技術を持った方に手伝ってもらいながら書きたいな、って今は思ってます。私、稲葉エミさんの歌詞が大好きなんです。「私の言葉を勝手に借りたの?」ってくらい私が言いたいことや胸の内を歌詞にしてくれるので、そんなふうに想いを形にできる、というのが目標です。
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