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REPORT

2015.10.21

新ユニット「みみめめMIMI・花」結成!?“視聴覚アカデミー Vol.3”レポート!

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9月21日、視聴覚ユニット・みみめめMIMIが、自ら主催するイベント“視聴覚アカデミー Vol.3”を代官山UNITにて開催。昨年末からコンスタントに回を重ねてきた本イベントだが、今回は対バン相手としてシンガー・ソングライターの分島花音を迎え、これまでとは違ったかたちで“視覚”へアプローチ。開演前から会場を埋め尽くした満員の観客によるざわめきが、“開講”の時への期待の高さを物語る。

まずは前説として、みみめめMIMIのボーカル・タカオユキの生ナレからイベントスタート。スクリーンにランドルト環などを映し出し、視力検査をする形で声出しウォーミングアップを行う。最後にはこの日の共演者・分島花音のスライドを映し出し、ほどなく始まったカウントダウンの終了とともにその分島がステージに現れ、本編の幕が開く。

分島花音が提示した、チェリストとしての視聴覚両面へのアプローチ

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ブルーの逆光に照らされながらチェロを携える彼女は、まず「celmisia」からそのステージをスタート。とりわけチェロソロの活きるこの曲で、“受講生”を迎え入れる。続く「サクラメイキュウ」は、同じくチェロをはじめストリングスの映えるサウンドでありながら、会場の熱を徐々に高める力も持ったナンバーで、ステージのみが紅に照らされる演出も印象深い。この2曲で、まずは分島花音として視聴覚両面からのアピールの土台を作り上げ、観客を引き込み始めていった。

もちろんこの日、みみめめMIMIを目当てに足を運んだ人もいたことだろうが、そんな人々が前述の通り分島花音の世界に引き込まれ始めたところで、いよいよキラーチューン「world’s end, girl’s rondo」を投入。彼らを自らの世界にグイッと引きずり込む。イントロ・間奏部では弓で観客を煽ってコールを要求し、場のテンションを持ち上げることも忘れない。また、大サビ前のチェロソロでの演奏の動きが、ここまで2曲よりもダイナミックになっており、その“溜め”が効果的に効いている様子も感じられた。

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さて、曲が終わりMCパート。「MC多めに、ゆっくり話してOK」というせっかくの機会を利用して、タカオユキとの出会いから意気投合・共演に至るまでのプロセスを語る分島。共通の知人であるアーティスト・カヨコを通して、「どうしてもピザが食べたかった」との分島の意向によりピザ屋で初会食を果たしたふたり。そこで「作曲時は曲が降りてくるまで雨乞いみたいに待つ」といったふたりの共通項が明らかになったり、さらにはその日タカオが落としてしまったチャームが奇跡的に駅で見つかったことなど、初ごはんの1日にしては濃すぎるエピソードを披露してくれた。

MCではどこかほわりとした雰囲気も漂う分島だが、再び楽曲披露となると一瞬でスイッチチェンジ。2月にリリースしたアルバム『ツキナミ』から、大事なバラード「モンスター・スター」を披露し、場の空気を再び締める。まるでこの日集まってくれた人はすべて自分にとってのスターだ——と言わんばかりに、情感の込められた歌声。テクニック面から見ても、彼女の歌声の特徴である細かいビブラートの機微がその感情の微細な起伏を表しているようで、それは生歌でしか感じ得ない貴重で大切なものだった。

そんな自らのスターに、再びシングル表題曲「killy killy JOKER」をぶつける分島。イントロでどこか小悪魔的に「盛り上がっていきますよ、いいですか?」と雰囲気を作ってから会場のテンションを一気に爆発させるこの曲は、名実ともに“キラーチューン”そのものだ。落ちサビからラスサビまでの歌声が、儚さから強さに至るまでグラデーションのように変化していく様は、CD音源以上にゾクゾクさせられた。

そんな興奮の1曲を終えて、再び少々ゆるめのMCタイムへ。改めて、ここ以外で自身のステージを初めて観たのはどこか?などの話題でコミュニケーションを取りつつ、ちょうどこの前日に京都で行われたライブ・イベントにも参加したという猛者の登場に、少々驚きつつも「同じ時を生きているね」という名言をも残していた。

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さて、ここでステージ上に登場したフラッグに話題は移る。これを使う曲といえばもちろん、最新曲「RIGHT LIGHT RISE」しかない。それを使う、この日の分島のラストナンバーで、対バンライブならではの光景が展開される。なんと、分島のフラッグに合わせて“みみめめフラッグ”も入り混じり、ステージ上にとどまらずフロアでも“共演”が実現。これぞ、対バンライブの醍醐味のひとつであろう。のちに登場するタカオユキが、MCで「うれしかった」と述懐するほどのアツい光景。その旗の海が一斉に、分島につき従って左右にはためく光景は、音楽を愛する者の集まりの具現化として胸が熱くなる。2サビ明けの旗振りにも、2種類の旗がしっかりと付き従っていく光景にうれしそうな分島。その関係性は、この曲を彩るにふさわしいパレードそのもの。ステージ上下ともに笑顔に包まれたまま、分島の出番はここで終了。

おなじみの曲からアゲアゲな新曲まで!大満足のみみめめMIMIステージ

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そんな最高のステージを受けて、今度はみみめめMIMIのターン。いつものようにDJうこっけいとDr・まいまいを従えて、今夏の彼女にとってのキラーチューン「CANDY MAGIC」で盛り上がりを引き継いでのスタートだ。楽曲全体を通してポップなのに、落ちサビでこんなにキュンと来る切ない歌声を見せられたら、一発でトリコになってしまう。まさしく出会い頭の一発目として、これ以上なくふさわしいナンバーだった。軽い挨拶を挟んでからの「Mr.Darling」も含めて、爽やか切ない系ナンバーを2曲続けて届けてくれた。

曲明けMCでは、まず久々となった“視聴覚アカデミー”の開催にあたって「会えてうれしいです、ただいまー!」とファンへ向かって喜びを爆発させる。その後、なかなかの盛り上がりを見せた開演前の“視力検査”や、改めてのこの日への意気込み、分島をこの日ステージに招けたことへの喜びなどなど多岐にわたるトークを続ける。ステージを重ねたことによる場慣れもあるのか、MCでの客の乗せ方もどんどんサマになっているように感じられた。

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そうして客の目をステージに完全に向けたところで、ステージ上にはキーボードが登場。弾き語りで「no name love song」を披露する。しっとりと楽曲を歌い上げたところで、きらめくような音色のピアノで楽曲を締める彼女。と、一転ハチャメチャな楽曲に移行。そう、「お絵描き」だ。四つ打ちにテクニカルなキーボードのプレイが映えるこの曲は、純粋に歌唱だけでも盛り上がりと楽しさを連れてくるものなのだが、さらに間奏で“最近の自分の女子力”をひと言で発表しながらのメンバー紹介が行われ、楽曲自体とは別モノの楽しさも上乗せ。その後も髪を振り乱しながらプレイするタカオの姿に、決まりきった型や殻を破って突き抜けていく、彼女の今と未来の成長を見た気がした。

そしてこちらも旗を用意。“視聴覚アカデミー”のVol.1から育ててきた、このイベントを象徴する曲「1,2,少女」で、分島とはまた違った形で会場を先導する。前曲から続く爆発しちゃいそうな会場のまとうオーラをこの曲でも引き継ぎ、会場をもう一段盛り上げていた。

曲が終わり、やりきった感さえ漂う会場。その中で彼女がまず発したのは「私は、映像に向いてない!」のひと言。実は今回のイベントには映像収録が入っていたのだが、観客の盛り上がりに引っ張られてテンションが上がり過ぎた結果、旗やマイクで顔が隠れてしまったから——と語る。しかしすかさず「皆さんが一緒に振ってくれるおかげです。とても楽しいです!」と続け、逆に会場のテンションを引っ張り上げる言葉に変えていた。そしてタカオは、全国各地をライブで駆け巡り、盛りだくさんだったこの夏を振り返る。その経験を経て「もっとみんなのことを思って曲を書いたりライブをしたい」との想いが強くなった、と語る彼女は「皆さんもぜひ私たちを信じて、これからもみみめめMIMIを応援してもらえるとうれしいです」と続け、いよいよ今日初披露となる新曲へと移る。

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この日販売のグッズでもあった手ぬぐいを使っての振付講座を、ところどころにかわいらしさもにじませながら行うタカオ。客席で左右に手ぬぐいを振る方向が分かれたときにも「この際左右どっちでもいいです!」と、これもこの夏培ったものだろうか、なかなかの度胸を見せつける。

その肝心の新曲、題名は「天手古舞」(※読み:てんてこまい)。漢字のみの表記だが和一辺倒というわけでもなく、彼女の楽曲特有のポップさもはらんだノリのよいアッパー・チューン。とりわけサビ終盤の盛り上がり方はすさまじく、初披露という感じのまったくしないボルテージの上がり方を見せる。これほどまでに一発で観客の心を捉えたこの曲、ライブを重ねて浸透していけば、彼女にとってのあらたなキラーチューンになるのでは——と思いながら、勢い良く舞う手ぬぐいと彼女の歌声とが融け合う光景に、しばし精神を委ねていた。

さて、ライブも終盤。いつものドラムをバックにした“みみめめMIMIコール”から「瞬間リアリティ」がクライマックスが近いことを告げる。普段通りダンスも織り交ぜながらの披露なのだが、Vol.1の頃と比較すると端々からエモーショナルさがにじみ出てきており、明らかに見せ方への意識が変わっていることが伺える。もちろんパフォーマンスだけでなく、それは歌声にもあてはまることなのだけれども。そのままイントロでのメッセージを挟んで、ラスト曲「サヨナラ嘘ツキ」に突入するのだが、そのメッセージの感情を一気に振り切る。楽曲のメッセージ性にも合致したその想い、やはり質・量ともに拡張されたアウトプットの為せる業だろう。Dメロ・落ちサビという聴かせどころでも、それは存分に発揮され、観客を魅了したままみみめめMIMIのステージは終了した。

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そしてアンコール、まずステージに上ったのは、なんと分島花音Tシャツを着用したタカオ。そしてこの日の共演者・分島花音を呼びこみ壇上でハグを交わす。逆に分島はみみめめMIMIライブTシャツを着用しており、「ユニフォーム交換をしてみました(分島)」との言葉通りにふたりが並ぶ。

さて、ふたり揃って登場したということは、もちろんコラボでのカバー。8月に広島にてライブで共演した際に話し合い、「これを今やったらみんなが喜んでくれるんじゃないかという曲(タカオ)」と決まった曲……との前フリから、紹介された曲タイトルは、なんとUNISON SQUARE GARDENの「シュガーソングとビターステップ」!しかも、互いに各々の楽器を演奏しながらの、この日限りのスペシャルコラボとなれば、盛り上がらないわけがない。代官山UNITは、アンコールにふさわしいパーティ会場のような盛り上がり方を見せていた。それは観客はもちろん、ステージ上で歌い演奏するふたりも同様に。間奏ではそれぞれの楽器で同じ音をユニゾンで奏で、またも息ピッタリな様を見せる。こうして、“みみめめMIMI・花(※タカオ命名)”のスペシャルステージは、最高のものとなったのである。

最後にふたりからそれぞれこの日の感想が語られ、この日のアカデミーは閉講に。

「セッションをするのが夢だったので、ピアノとチェロで、夢がかないました。“みみめめMIMI・花”でまたライブができる機会があったらまた来ていただきたいです!(分島)」

「『天手古舞』の配信リリース翌日、大阪でライブの出演が決まりました。また東京でもこうやってみんなに歌を届けられる場所を作れるように精進していきたいと思います(タカオ)」

これまで2回はいずれもアイドル成分の強かった“視聴覚アカデミー”は、初のシンガー・ソングライター同士の顔合わせとなった今回、またあらたなスタイルを示してくれた。とりわけそれが顕著に表れたのは、やはり互いがステージを務め上げて作り上げた空気の中で行われた、アンコールだろう。キーボーディストとチェリストがセッションし、しかも直近アニソンのキラーチューンをカバーするという光景、まさに“耳から目から”刺激的すぎるものだったはずだ。

今回の成功で、またあらゆる可能性が広がっていくであろう“視聴覚アカデミー”。次にみみめめMIMIとともにステージに立つのは、いったい誰なのか?今回のようにステキで刺激的な音楽体験が、また近いうちに味わえることを、心より強く願う。

Text by 須永兼次

みみめめMIMI“視聴覚アカデミー Vol.3”
2015.09.21@代官山UNIT
【SET LIST】
●分島花音
M1.celmisia
M2.サクラメイキュウ
M3.world’s end, girl’s rondo
M4.モンスター・スター
M5.killy killy JOKER
M6.RIGHT LIGHT RISE

●みみめめMIMI
M1.CANDY MAGIC
M2.Mr.Darling
M3.no name love song
M4.お絵描き
M5.1,2,少女
M6.天手古舞
M7.瞬間リアリティ
M8.サヨナラ嘘ツキ

●ENCORE
EN1.シュガーソングとビターステップ(UNISON SQUARE GARDENカバー・w/分島花音)

 

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